11月1日から9日の9日間で、昨年を上回る77,000人を超える観客で大盛況を呈した第16回東京国際映画祭。9日の夕刻、オーチャードホールでは、華やかなゲストや多数の来賓、そして多くの映画館の熱気の中で、華々しくクロージング・セレモニーが開催された。
 セレモニーでは、映画祭の目玉であり、映画好きからその行方が注目されたコンペティション部門各賞の発表と授賞式が行われた。世界51の国と地域から選ばれた363本のエントリー作から厳選された15作品のうち、コン・リーを審査委員長とする5人の映画人が、意見の一致をみたという受賞結果と感激の受賞コメントは、以下のとおり。

東京グランプリ
『暖〜ヌアン(原題)』(監督:フォ・ジェンチー)
フォ・ジェンチー監督「皆さんこんにちわ。この賞をいただけて本当に嬉しいです。審査員の皆さんに、感謝します。祖国の美しい景色、日本の観客の皆さん、私たちの情熱に感謝します」

審査員特別賞
『スーツ』(監督:バフティヤル・フドイナザーロフ)
バフティヤル・フドイナザーロフ監督「本当に驚いています。審査員の皆さん、ありがとうございました。そしてこの映画のスタッフ、キャストにお礼を申し上げたい。東京ありがとう」

優秀監督賞
クリス・ヴァレンティーン/ティル・テラー『サンタ スモーク』
ティル・テラー監督「アリガトウ。東京国際映画祭の関係者にお礼を申し上げたいと思います。共同監督のクリスと僕は、まず日本に来れただけでも驚きだったんです。クリスは次回作の準備のため、先にヨーロッパに帰りましたが、彼にもお礼を伝えたいです。選んでくださった審査員の皆さん、本当に信じられないです。ありがとうございます。実は東京に来てから、続編『サンタ スモーク in TOKYO』のトレーラーを撮影済みなんです。でも、1シーンだけ足りない場面がありまして、会場の皆さんに御立ちいただいて「清しこの夜」を日本語で合唱して欲しいんです。(舞台前のマスコミからDVを借りて、場内総立ちの合唱を撮る監督)アリガトウ!」

優秀女優賞
クリスティ・ジーン・フルスランダー『サンタ スモーク』
寺島しのぶ『ヴァイブレータ』
テラー監督(クリスティ・ジーン・フルスランダーの代理)「私が日本に来る前に、クリスティと連絡をとろうとしたのですが、彼女と連絡がとれなかったんです。映画も彼女が消えてしまうところで終わっているのですが、実際に消えてしまったんです。でも、カリフォルニアの何処かにはいるはずなので、探してみます」
寺島しのぶ「300本を超える作品の中から、15作品というコンペティション作品に選ばれただけでも、本当に光栄だと思っていましたが、この作品にまたもう一つ冠をいただいて、選んでくださってありがとうございました。それと、この『ヴァイブレーター』に関わってくださったスタッフの皆さん、陰で私を支えてくださった皆さん、そして原作者の赤坂さん、私をこの役に与えてくれた脚本の荒井さん、プロデューサーの森重さん、大森南朋君、そして廣木監督、ありがとうございました。これは皆の賞として、後で呑みましょう」

優秀男優賞
香川照之『暖〜ヌアン(原題)』
香川照之「このような賞をいただけたことに、本当にびっくりしております。この映画は、主演はグオ・シャオドンとリー・ジアのお二人で、そして僕は二人をサポートする形で、3人で現場でやってきた感があります。これを僕がいただいてますが、グオ・シャオドンとリー・ジアのお二人とフォ・ジェンチー監督との出会い、そして素晴らしい撮影をしてくださったスタッフ・キャストの皆さんに感謝します」

優秀芸術貢献賞
『スーツ』(監督:バフティヤル・フドイナザーロフ)
フドイナザーロフ監督「東京の皆さん、ありがとうございます。本当に思いがけないことだったのであがってます。今回の観客は、全員が温かくハートが感じられる皆さんでした。本当にありがとうございました」
「アリガトウ!」

 感激に満ちた面持ちの受賞者と審査員による長いフォトセッションが終わると、クロージング・セレモニーは大詰め。締めは角川歴彦GPが、来年以降のさらなる映画祭の発展と再会を願い、セレモニーは幕を閉じた。

 なおこの時平行して、シアター・コクーンでは、「アジアの風」部門のアジア映画賞の発表も行われていた。最後にその結果も報告しよう。

アジア映画賞
『メモリー・オブ・マーダー/殺人の追憶(原題)』(監督:ポン・ジュノ)
スペシャル・メンション
『嫉妬は我が力』(監督:パク・チャノク)
『世界でいちばん私をかわいがってくれたあの人が去った』(監督:マー・シャオイン)
(宮田晴夫)

□公式頁
東京国際映画祭