コリアン・シネマウィーク2003、2日目、チケット発売と同時に完売した人気作、日本でもおなじみのアン・ソンギが大統領を演じるロマンチックコメディー。
本作がシナリオ10本目にして映画監督としてデビューを果たしたチョン・マンベ監督の意欲作。脚本は8年前に企画され、大統領の恋愛ドラマというタブーとされてきた素材への挑戦とコミカルな仕上がりから韓国でも、そして後半ドラマでは、会場から涙する音が響くほど日本でも観客を心を掴んだ言える。
愛する人のためにピアノを弾くシーンは、映画『慕情』で使われた名曲「Love is a Many Splendored Thing」を4ヶ月もアン・ソンギは練習をしたとエピソードを語ってくれた。
東京フィルメックスで来日した際もアン・ソンギ氏は、次回作に触れ、ピアノ練習で苦労をしたと言っていたシーンだけにファンにとっては、感動のシーンである。
物語は、妻を亡くした大統領が、娘の担任となった新任教師と恋に落ちるというアメリカ映画ではよくある物語ではあるが、8年前から暖めていた企画で、この映画に『猟奇的な彼女』『ラブストーリー』のクァク・ジェヨン監督がシナリオ脚色に参加しており、ラストの感動のドラマはほろっと泣かせる演出も聞かせている。
効果的に使われている雨や音楽は、監督が古きアメリカの『ローマの休日』などを見て育った影響が随所にちりばめられている。
期待を裏切らないアン・ソンギ主演最新作である。

□作品紹介
ピアノを弾く大統領