東京国際映画祭の協賛企画として好評のうちに回を重ね、TIFFと同様今年で16回を数える東京国際女性映画祭。今年はトルコ、デンマーク、中国、アメリカ、インド、フランス、そして日本の女性クリエイターによる選りすぐりの13作品が上映される。
 11月2日Bunkamura内映画祭記者会見場にて、この第16回映画祭の記者会見が行われ、ロネ・シエルフィグ監督(『幸せになるためのイタリア語口座』2日18時上映)、ポン・シャオレン監督(『上海家族』3日12時上映)、ハンダン・イペクチ監督(『少女ヘジャル』11月4日12時上映)、槙坪夛鶴子監督(『母のいる場所』11月5日12時)、高山由紀子監督(『娘道成寺〜蛇炎の恋』5日18時上映)等作品出品監督が登壇し、質疑応答が行われた。
 今回の上映作品は、“ドグマ”作品でありながらも、その枠組みから映画ファンが受けるものとは印象をことにする、優しさに満ちたロネ・シエルフィグ監督によるラブ・ストーリー『幸せになるためのイタリア語口座』のように、日本公開が決定しているものもあれば、現段階で配給が決まっていないものもある。クルド人の少女とトルコ人の老判事の交流を描いたハンダン・イペクチ監督の『少女ヘジャル』は、劇中クルド語の会話を盛り込んだことにより、作品完成後に政府から上映禁止処分を受けてしまった作品だ。その経過を語ったハンダン・イペクチ監督は、「現在3作目を製作中で、もしかしたらこの作品にも政府の介入が入るかもしれないが、なんとか対処して進めていきたい」と新作への姿勢を真摯に語り、これに対しマスコミ陣から共感と激励の拍手が贈られた。なおこの『少女ヘジャル』は、上映禁止処分を受けるもその後、内外で21の賞を受賞しており、そのあたりからも政治色が強いわけではなく、素晴らしい交流というテーマ自体の素晴らしさの証左と言えるだろう。現時点では、今回の映画祭上映が作品の真実にふれる唯一の機会なので要チェックだ。
 なお第16回東京国際女性映画祭は、11月2日から5日までの4日間、東京ウィメンズプラザにて開催中。各作品上映前には監督または関係者による舞台挨拶も開催される。
(宮田晴夫)

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