東京国際映画祭の核ともいうべき「コンペティション部門」。今年からは、監督の3作品以内の作品から選出するというこれまでの規約が改革され、より広い層の作品から作品の質とレベル、監督の力量、作品の面白さが観る人に伝わる出来上がりのものを選ぶことが選定の基準となり、しいては東京国際映画祭がさらにハイレベルの映画祭へ発展することを目指している。そうした中で、今年は世界51の国と地域からエントリーされた363本の作品の中から、厳選された15本の作品が上映され、その中から最高の栄誉である東京グランプリ、審査員特別賞、優秀監督賞、優秀主演女優賞、優秀主演男優賞、優秀芸術貢献賞が選出される。、9日のクロージング・セレモニーにて表彰される。
 11月2日、Bunkamura内映画祭記者会見場にて、この重要な審査を行う国際審査員5名による記者会見が開催された。映画祭ゼネラル・プロデューサー角川歴彦氏の紹介で登壇した審査員の面々は、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(80)等のアーヴィン・カーシュナー監督、昨年の「アジアの風」部門でも上映された『わすれな歌』(02)等のペンエーグ・ラッタナルアーン監督、『父よ』(01)等の俳優ヴァンサン・ルクール、『リング』(98)シリーズ等で現在の和製ホラーブームを起したプロデューサーの一瀬隆重、そして中国映画界を代表する女優であり今回のコンペティション審査委員長を務めるコン・リーの5名で、それぞれ審査に向けての抱負や感想、映画祭への思いを語った。
 「映画祭の審査は何度か引き受けていますが、その都度これは初めての経験であると思うようにしています。また、1本の映画が新しい味があり、人の心を感動させることができれば、それは素晴らしい芸術作品だと思っています。また、私としては、作品に関してその国籍や監督などには一切関係なく、公平な立場で望むつもりです。」と語ったコン・リーは、これまでヴェネチア映画祭でも審査委員長を務めるなど映画祭の審査は数度経験済み。その審査に携わった経験が女優活動から影響を受けたかという質問には、「女優は私の本職で、審査の仕事は何度かしてますがあくまでアマチュアだと思っています。審査員は確かに難しい仕事ですがよい経験であり、短期間に多くの優れた作品を集中してみれます。それは私にとって、とても楽しいことであり、私自身にも大きな影響があると思います」と答えた。
 審査委員は期間中、連日コンペ対象作品を一緒に鑑賞(ヴァンサン・ルクール曰く「織の中に入れられるようなもの(笑)」)し審査を行い、その厳正な結果は11月9日のクロージング・セレモニーにて発表される。
(宮田晴夫)

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