タランティーノの久々の監督作『キル・ビル』がいよいよ公開になる。先日開かれた来日記者会見では、タランティーノをはじめ、主演のユマ・サーマン、ルーシー・リュー、プロデューサーのローレンス・ベンダーに加え千葉真一、栗山千明、ジュリー・ドレフュス、プロダクションIG社長・石川光久、美術監督種田陽平、豪華9名のキャストスタッフがかけつけた。記者会見の模様をほぼレポートしちゃいます!

タランティーノ「大好きな大好きな日本に来れて本当にうれしい!」
ユマ「私の日本語が理解してもらえるようにがんばりました。」
ルーシー「”アリガトウゴザイマース!!(日本語)”日本のサムライ映画に捧げるつもりでがんばりました。」
千葉真一「以前、故・深作監督とタランティーノとロスで会ったときに、三人で「映画を作ろうよ!」と話していたことがありました。」
栗山千明「参加できて、本当に本当に感激しています。最高のキャストスタッフに囲まれ、宝物のような作品になりました。」
ジュリー・ドレフュス「一年かけて撮影をしていました。日本でのヒットを期待しています!」

今回、ユマ演じるザ・ブライドとルーシー演じるオーレンの対決シーンが目玉となっているが、そこでの2人のたどたどしい日本語(失礼!)で啖呵を切っているのがマスコミ試写では大ウケであった。日本語を猛勉強して挑んだという二人が好きな日本語のセリフはというと・・・

ユマ「日本刀 ガ 必要 デ・・・」(千葉演じる服部半蔵が経営する寿司バーでの会話)
ルーシー「刀ハ使エルノ?使エテモ戦ウチカラガ残ッテレバイイケドネ!」(ブライドとの一騎打ちシーン)
タランティーノ「何飲む?」(これまた寿司バーで大葉健二さんがユマに言った一言)

これには会見の会場でも大盛り上がり。一方その対決の舞台となった料亭・青葉屋をはじめとする純和風ミックスなセットが印象に残るが、美術監督の種田陽平は・・・

種田「米・中・日のスタッフがいるというエキサイティングな現場でした。青葉屋のセットは実は北京に作られたニセモノの日本なんですよ。」
ローレンス・ベンダープロデューサー「種田さんはこの作品に大変貢献してもらいました、感謝しています。」

肝心の日本刀についてのトレーニングはどうだったのだろうか?

千葉「ユマとルーシーは毎日9時から夕方まで3ヶ月みっちりトレーニングしました。日本刀は難しいのによく私についてきてくれていました。個性に合わせて技を変えてるのに、二人とも勘違いしてて「どうして相手と違うことをしているの?」とたずねられたりしました。二人は技をとりっこしてたんですよ。どうしてそんなに熱心なのかと呆れるくらいだったんですが、”これは私の女優としての財産なんです。だから少しでもたくさん教えて”と言われたのには感動しましたね。」
ユマ「刀は私の中で特別なものになりました。千葉さんからもらった刀は大切にしています。小道具以上の存在ですね。」
ルーシー「ユマのいうとおりです!刀にはいろいろな想いがこもっています。」

『キル・ビル』では主人公が女なら彼女が倒すべき敵もルーシーをはじめ、ソフィを演じるジュリー・ドレフュス、ダリル・ハンナ演じるエル・ドライバー、栗山千明演じるGOGO夕張、なぜだか女性が多い。女性中心のアクションにしたのはなぜだろう?

タランティーノ「大好きなアジアの映画には女性の戦士がたくさんいたからだよ。ヨーロッパにはあまりいないんだよね。梶芽衣子や志穂美悦子が大好きなんだ。男性とは違った仁義のあり方が女性はエキサイティングだと思ったんだ。」

今回、オーレン・イシイがスナイパーとなるまでの凄惨な少女時代を、アニメーションで描くというかつてない手法をとっているが、それはなぜなのか?プロダクションIGの石川光久はこう語った

石川「2年前にIGの事務所に突然タランティーノが来たんだ。まさか本人だと思わなかったよ。そしてこのアニメを依頼されたんだけど、僕たちもとっても忙しくてそれどころじゃなかったんだ。それなのにじゃんじゃん脚本が送られてきていたんですよ。これがまためちゃくちゃな脚本なんですよね。アニメを監督した中澤一登監督には感謝しています。」
タランティーノ「映画は本当の世界とはまったく別のものだと思っているんだ。映画の世界ではストーリーもマカロニウエスタンや香港映画のショウ・ブラザーズみたくなってもいいんじゃないかと思ったんだ。そういう世界なんだからアニメが入ったっていいんじゃないかって思ったんだ。自分が思い描いたとおりのものが出来上がってとてもうれしい!彼らのアニメが大好きなんだ。映画の中では自分がやりたいかやりたくないかだけだよ。」

最後に監督から一言!
「映画に対する愛情は誰にも負けないよ。僕は自分がアメリカ人だからってアメリカ映画を撮ろうとは思っていないし、地球上の人たちに向けて映画をつくっているんだよ。」

☆『キル・ビルVOL.1』は10月24日いよいよ公開!

(綿野)