ただいま開催中のヴェネチア国際映画祭のコンペ部門で上映された北野武監督『座頭市』。アートの祭典「ビエンナーレ」が選ぶ特別賞「オープン2003」を受賞。映画の分野では日本人初という快挙を成し遂げた北野監督が昨日凱旋帰国した。本日(9月6日)劇場公開初日を迎えた『座頭市』の舞台挨拶にはおそらく時差ぼけ状態かと思われる北野監督、浅野忠信、夏川結衣、大楠道代、ガダル・カナル・タカ、大家由祐子、橘大五郎、柄本明、石倉三郎、THE STRIPESら出演者たちが駆けつけ舞台挨拶を行った。

ラスト”踊る農民”として祭りのタップシーンに登場したTHE STRIPESの面々だが、リーダーのHIDEBOHは北野監督のタップの師匠でもあるという。
「最初監督に映画に出てくれと言われた時は、僕らのタップが映画の中でどういう風になるんだろう?と少し不安でしたが、監督に色々お話をうかがっていくうちに絵が見えてきましたね。僕らは踊れるだけで楽しかった。北野映画を通して世界に発信できるということがすごい喜びだし、この映画は日本が世界に誇れる作品です!」(HIDEBOH)

両親の仇を討つために芸者に身をやつす姉弟を演じた大家由祐子、女形の橘大五郎は本当の姉弟のように撮影中も仲良しだったという。
「現場ではどちらかといえば大ちゃんの方が女として扱われていましたね。私も弟というより妹みたく思ってます。(笑)」(大家)
「初めて映画に出演、しかも北野映画ということで大変緊張しました。でも舞台ではできない経験をして色んなことを学びましたのでこれからの舞台にもそれを役立てたいと思っています。」(橘)

日本映画にはかかせない名バイプレーヤーであり北野監督とは浅草時代から旧知の仲である石倉三郎、監督いわく「画面にいるだけで安心する」という柄本明も今回顔を見せている。
「たけしは浅草時代から”天才たけし”と呼ばれてた奴なんですよ。今回使ってもらえてうれしかったな。現場はさわやかで、私のボキャブラリーじゃないんだけど、”ステキ”な時間をもてました。生きててよかった!(ちょっとオーバー?)」(石倉)
「北野作品への出演ははじめてなんです。北野映画が非常に好きでずっと機会があれば出たいと思ってたんです。あまり試写には行かない性格なので作品はまだ見てないですが、落ち着いたらゆっくり見たいです。」(柄本)

普段はたけし軍団として殿に仕え、今回は映画の中でホッと一息つけるコントを担当したガダル・カナル・タカ、勝新版座頭市にも出演している唯一の俳優である大楠道代の二人はラストのタップには相当な思い入れがあったようだ。
「もうこの年になって、こんなに楽しいことがあるなんて思わなかったってくらいです。」(大楠)
「大楠さんの軽快なタップ驚いたでしょ?あれはね、監督のご自宅の地下室でみんなで練習したんですよ。」(タカ)

座頭市と対決する用心棒服部とその妻を演じた浅野忠信、夏川結衣。
「わたしのシーンについては・・・、病気の役なので。この映画全体がすごく大好きです!」(夏川)
「撮影中他のシーンがどうなっているのかまったく知らなかったので、あとで見たときタカさんが僕の真似をするようなシーンがあって『裏ではこんなことが・・・』と思いました。タカさんすごく面白かったです。」(浅野)

そして監督・主演をこなした北野武が登場。映画祭での賞について、
「映画祭というのは一般のお客さんじゃなくて映画を買いにくる人たちが集まるところでいわば品評会ですよね。そこで好評だったということは映画を買ってもらえるということなので、多くのお客さんに見てもらえることになるのでとりあえずは大成功でしょう。賞はおまけみたいなものです。スタンディングオベーション?ああ、ジャンボ貸し切って日本からたくさんサクラ連れてったんだ。(笑)」

ヴェネチアでのグランプリ発表は数日後になるが、エンドロールにまで拍手が鳴り止まないといった日本の劇場での圧倒的な熱狂をみれば、この映画の絶賛ぶりがわかるのではないか。

☆『座頭市』は丸の内プラゼール他全国松竹東急系にて《最強》公開中!!

□作品紹介
座頭市