韓国映画史上最大のヒットとなった『友へ チング』で男同士の友情をうたい、大ブレイクを果たした俳優、ユ・オソン。彼を主演に、『友へ チング』のクァク・キョンテク監督が、実在のボクサー「キム・ドゥック」の熱い生涯を描いた映画『チャンピオン』。その公開記念特別トークショーが、公開初日の7月26日(土)に新宿武蔵野館で行われた。

トークショーには、プロボクサーライセンスを持つ俳優の虎牙光輝、写真集『KOREAN BOXER』で、キム・ドゥックのお墓を撮影した写真家の佐藤ヒデキと、現在協栄カヌマボクシング会長で、キム・ドゥックと闘ったことのある唯一の元日本人ボクサーの石戸唯男がゲストで出席。それぞれの立場から、この映画や、韓国の伝説のボクサー「キム・ドゥック」について語った。

今回は、そのトークの一部を紹介する。

虎牙光輝
ボクシングを始めたのは16才のときで、そのときのトレーナーは石戸(唯男)さんでした。今でも暇があればトレーニングをしていますし、役者さんに教えたり、総合格闘技『シュート』の選手に打撃を教えています。やっぱり、格闘技はやめられませんね(笑)

元々、クァク・キョンテク監督の作品が好きで、この映画で描かれているキム・ドゥックと世界チャンピオンのレイ・マンシーニの闘いでキム・ドゥックが亡くなった後、全15ラウンドが全12ラウンドに変更になったことを知っていたので、それがどのように描かれるか楽しみにしていました。実際に見てみて、ストイックなボクシングの世界を見事に描いているなぁと、とても感動しました。ボクサーにも見てほしい作品で、うれしかったです。

役者としては、魂を感じるユ・オソンの演技に感動しました。体をボクサー体形にするのに半年間かけて鍛えたというもすごいなと思いました。

僕の好きなシーンは、先輩と一緒に銭湯に行くシーンですね。仲間なんだけどライバルでもある関係が共感できて、友情の描かれ方が良かったです。お互いがお互いを高めあう関係は好きですね。

この映画は名作だと思います。

佐藤ヒデキ
現役のボクサーをテーマに数冊の写真集を出してきて、韓国人のボクサーをテーマに一冊の写真集を作りたいと前々から思っていました。今低迷している韓国のボクシングを応援する気持を込めて、歴代の世界タイトル挑戦者を中心にまとめてみました。

キム・ドゥック選手は、韓国ボクシング界の全盛期と言われた1980年代に活躍された選手の一人で、どちらかと言えばコツコツとがんばってきたタイプ。そんな選手に、僕の写真集の1ページを飾ってもらおうと思い、試合で亡くなられたんですけど、彼のお墓を写真集『KOREAN BOXER』に収めました。

もし、キム・ドゥック選手が生きていたら…広大な海をバックにスーツ姿でファイティングポーズを取った写真をかっこよく撮りたいですね。

いい作品だと思いました。キム・ドゥック選手の生きざまをより多くの人に見てほしいですね。

石戸唯男
キム・ドゥック選手と闘った当時は、彼が世界ランク1位で、僕が東洋ランク1位でした。試合の申し出が来たときはチャンスだと思いましたね。ソウルで東洋タイトルマッチをやったんですが、壮絶な打ち合いになりました。すごいパンチで、石で殴られたような感じでした。僕が闘った相手の中で、一番パンチ力があったと思います。

■作品紹介
チャンピオン