中国からものすごい映画がやってきた。作品の監督キャストスタッフどこをとっても中国最高峰の精鋭という中国ドリームチームの超大作、それが『HERO』である。
まずキャストがすごい。ジェット・リ−、トニ−・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニ−・イェンという錚々たるメンバー。マニアにとってはジェット・リ−とドニ−・イェンという『ワンス・アポン・ア・タイム』の因縁の2人が久々に共演することも事件であろう。監督は巨匠チャン・イーモウ、製作は『グリーン・デスティニ−』のビル・コン、撮影はウォン・カーウァイ作品で注目されたクリストファー・ドイル、衣装はアカデミー受賞経験のある日本人ワダ・エミという寸分のぬかりもないメンツである。六本木で行なわれた来日記者会見には、チャン・イーモウ監督、ジェット・リ−、チャン・ツィイー、プロデューサーのビル・コンが登場した。

チャン・イーモウ「最近中国映画が元気がないということもあって、わたしは中国映画界の精鋭を集めた作品をつくることで、中国映画界の活気を取り戻すことができるんじゃないかと考えました。今回のこのような”武侠”というテーマは小さい頃から好きで読んでいた小説でもあり、中国では非常にポピュラーなものなのです。中国の監督の多くが是非武侠映画を撮りたいと思っているくらいなんですよ。李白の「侠客考」にもインスパイアを受けています。衣装のワダ・エミさんは、黒沢映画の衣装を担当していたとうかがって即決でお願いしました。私はずっと黒沢映画をみて勉強してきたんです。ですから黒沢さんと仕事をしてきたワダさんと今回一緒に仕事ができてとてもうれしいです。」

ジェット・リ−は、作品ごとに演じるキャラクターに合わせてアクションシーンも演技も変えているというが、今回はどういうアクションシーンを演じたのだろうか?
ジェット・リ−「中国映画には、必ず悪役がいて、そいつを倒すために主人公は山に入ったり滝に打たれたりして修行を積んで、そして敵を倒す!という設定が多いけれど、この作品は悪役も敵という絶対的な悪がないんです。一人一人が自分の角度で相手を見据えている。悪役がいないということは、私は誰と戦っているのか。そこで監督にいわれたのは、マーシャルアーツの世界では相手を倒すだけでなく、相手の心をもいかに勝ち取るというのは非常に難しいのではないかということです。人間は心のある生き物ですから、相手の心を読むこと理解することが大切になってきます。ですからアクションの創作については、ひとつの精神的な世界を創ろうと試みています。勝負だけではなく人間の相互理解ということを念頭におかれています。」

☆『HERO』は8月16日より丸の内リ−ブルほか全国松竹・東急系にてロードショー!

□作品紹介 『HERO』

(綿野かおり)