アメリカン・コミック・ヒーローの映画化作品が続々製作されるハリウッドだが、また新たなマスターピースが誕生した。6月20日に公開された全米では、歴代週末興行新記録を打ち立てた『ハルク』だ。7月14日、来月2日からの待望の日本公開を目前に、本作でダイナミックなアクションと心理ドラマを融合させたアン・リー監督とILMのビジュアル・エフェクト・アート・ディレクターとして驚愕の映像に腕をふるったウィルソン・タンが来日し、パークハイアット東京にて記者会見が開催された。
 RCTのメンバーからの花束贈呈に続き、まずはILM秘蔵のメイキング映像が披露され、その映像に併せ「筋肉の動きに拘り、内面的な感情を出すようにした」(タン氏)、「ハルクは怒っていても、イノセンスなものを残すよう心掛けた」(リー監督)等制作上のポイントが続々明かされた。
 続いて開催された質疑では、伝統を持つマーヴェル・コミックの映画化にあたってのアプローチについて問いかけられたリー監督は、「プレッシャーが無かったといったら嘘になるが、それが映画化を思いとどまらせる程のものではなかったよ。心理学的な分析、物語、核になるものなど様々な角度から作品を分析・検討し、世界中の映画ファンが喜んでくれる最高のニュー・エピソードを目指したんだ。」とコメント。また、本編中の一部のハルクの映像では、リー監督自身がモーション・キャプチャーを演じているとのこと。「クリーチャーを人間に生まれ変わらせるのは、微妙なプロセスで可能にする。俳優、スタント、アニメータはそれぞれの分野があるが、監督はこの場面がどうなるかを一番熟知しているもの。だから、自分がやるのが一番だと思って、ハルクの扮装をしたんだよ。最後には、あの犬までやってくれと言われたんだ。流石にプロデューサーに止められてやめたけど」と笑いながら答えるリー監督に、「リー監督は嬉々としてスーツを着てましたよ。よほど内面に鬱積した怒りとかを、発散させたかったようですね(笑)」とタン氏が突っ込む一コマも。
 なお、『ハルク』は2003年8月2日より日劇PLEX他にて全国一斉ロードショー!
(宮田晴夫)

□作品紹介
ハルク