昭和31年12月の会館以来、”渋谷の街の顔”的な役割を果たしてきた東急文化会館であるが、2003年6月30日をもって閉館となった。映画館、レコード店、本屋、スーパー、プラネタリウム、と生活から教養、娯楽まですべてがそろうまさに「文化会館」だった東急文化会館は多くの人々に沢山の想い出を残し渋谷の街を見守ってきた。一階大劇場のパンテオンでは、ラスト作品『サウンド・オブ・ミュージック』の70mmフィルム上映を行なった。山下総支配人の挨拶のあと、スクリーンが70mm用に大きく伸びた瞬間は会場から歓声があがった。上映終了後も名残を惜しんで記念撮影をしている観客や、パンテオンゆかりの映画関係者たちがいつまでも立ち去り難そうに劇場に残った。今後この地は渋谷再開発の工事基盤となる予定であるが2007年の再開発が終了後、「またここに映画館を建てパンテオンという同じ名前をつけます。」と会田専務は新しい構想を語っている。当面は代替劇場として渋谷エルミタージュをパンテオン系劇場、クロスタワー2階ホールを映画館仕様に改装して「渋谷東急」として新たに営業を開始する予定。

※10数年ぶりに緞帳も下ろされ記念撮影をする観客、映画関係者が多く見られた。
緞帳は、近代建築の巨匠であるル・コルビュジェの作品である。

(綿野かおり)