刑事を主人公にすること、上映時間10分、ギャグを5つ以上いれること、という同じ条件のもと様々な個性豊かな映画監督が参加するオムニバス企画刑事まつりシリーズ第3弾「最も危険な刑事まつり」がシネマ下北沢で公開中である。今回のシリーズの注目のひとつでもあるのが、ドキュメンタリー映画作家として有名な森達也監督の参加した『アングラ刑事』である。監督自身は以前演劇をしていた経験からドラマを撮ることにはなんの先入観もないということだが、オウムのドキュメンタリーで話題になった『A』『A2』など森監督といえばドキュメンタリーのイメージがあるこちらとしては注目の作品になった。上映後に行われたトークショーは、森達也監督、出演者の大久保鷹さん、黒沼弘巳さん、原昇さんをむかえてのイベントとなった。

森「刑事まつりをどういうものなのか知らないで撮っているので、今日はじめて見て”こういう水準のものなのか”とやっと理解しました。いまさらですが、ちょっと笑いが中途半端だったかなと感じました。えーと、若い人にはわからなかったかもしれないんですがつかこうへいさんの「熱海殺人事件」という作品のパロディなんです。70年代に芝居をやっていた頃があってそのころの自分にとっては神様みたいな存在だったんです。今回役者さんには、つかさんと並ぶ紅テントの大久保鷹さんに主演をお願いしました。ですからタイトルは迷うことなく『アングラ刑事』です。彼らにやっていただくのだから、カット割をするんでなく一発撮りで演技を生かす方向にしました。何バージョンも撮ってるんですが、一回として同じ芝居をしないのには驚きました。」

大久保鷹「刑事まつりは知らなかったけど、黒沼は森監督とは昔の演劇仲間ということで知らされていて、森監督のことは会う前から興味がある人物の1人ではありました。面白いと思ったのは、シリーズの中他の作品がいかにも笑わせようとしているようなものになっているのにたいして、こちらはいかにも普段のままで真面目な顔して馬鹿なことをしているというのがテイストを異にしていたことです。」

☆「最も危険な刑事まつり」はシネマ下北沢にて公開中!!

■作品紹介「最も危険な刑事まつり」
■公式ページ「最も危険な刑事まつり」

(綿野かおり)