2000年、『シュリ』が日本人の知らなかった朝鮮半島を鮮やかに描き出し、2001年、『JSA』が南北問題を等身大で描き、隣の国がさらに身近になった。そして2003年、南北分断の真実に光を当てた韓国超大作『二重スパイ』。脱北者を装って韓国の諜報機関に潜入した二重スパイと、生まれながらに北朝鮮のスパイとして生きざるを得なかった韓国人女性との許されざる愛の行方を、スリリングなエンタテイメントに仕上げている。愛と理想のはざ間で葛藤しながらぎりぎりの選択を迫らせることになる二重スパイ・ビョンホを演じるのは、『八月のクリスマス』『シュリ』を始めとするすべての主演作が大ヒットさせているハン・ソッキュ。人気・実力ともに韓国映画界ナンバーワンを誇る彼が三年というブランクを経てスクリーンに復帰したこともまた注目を集めている。来日記者会見では、久々の映画出演作について熱く語ってくれた。

「北朝鮮の人を演じるということは、とても注意深さが要求されデリケートなものです。なぜなら、私が演じることによって、北朝鮮の人々に対してのイメージが変わってくる場合があるからです。私はいつも映画に出演するときは、自分なりに作品のテーマを一言決めていてそれを目標にして仕事をしています。今回のこの映画の私が念頭においていたテーマは“南北の分断体制維持のために犠牲になった人”です。スパイというものは自分以外のまわりの人間すべてを欺いているのですから一日中演技をしていることになります。そういう役なので「演技をしている」という演技をすることになります。ですから今回の役はいろんな意味で大変であり、しかしとてもやりがいのある役でした。」

この映画によって、観た人が少しでも南北分断問題について考える機会をもってくれることがあればとても大きな意味があるものになる、と結んだ。

☆『二重スパイ』は6月7日より全国東映系にて拡大ロードショー!

■作品紹介『二重スパイ』
■公式頁『二重スパイ』

(綿野かおり)