『青い凧』で第6回東京国際映画祭グランプリを受賞した田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)監督待望の新作は、中国映画史上初のリメイク作品である『春の惑い』である。田壮壮監督自らメガホンをとるのはなんと十年ぶりになる。リメイクの題材になっている映画『小城之春』は、新中国成立直前の小さな街に生きる上流階級の人々の不安と倦怠に、人妻の密やかな恋情を絡めて描いた心理劇で、チャン・イーモウ監督は、「中国映画のベスト1」として挙げている作品だ。田壮壮は、抗日戦争の終結と新中国成立直前という時代のはざまに生きる人々の不安と期待が、新世紀を迎えた現代人の心情と重なることに気づき、リメイクを思い立ったと言う。一体どんな作品に仕上がっているのでしょうか?今回、日本公開バージョンのみ、代表的二胡奏者チェン・ミンがイメージ曲「もうひとりの私」を書き下ろしているのも大きな話題となっている。チェン・ミンは映画の舞台となった蘇州出身で、現在は日本を中心に映画音楽やニュースのテーマ曲など幅広い活動を続けている。彼女の演奏は、映画『春の惑い』に溢れる中国の伝統美に共鳴し、震えるような美しい旋律を奏でている。4月24日に開かれた特別試写会には、ゲストとしてチェン・ミン本人が登場し、作品について、そして実際に二胡の演奏を披露した。

チェン・ミン「小さい頃から映画が大好きでしたが、中国の映画の中には必ず二胡は流れるんです。今回は自分で映画のイメージ曲を作らせていただいて本当にうれしかったです。私は映画の舞台となった蘇州出身ですので、映画の中の風景を思い出してイメージを膨らましていきました。私は映画の主人公の女性の気持にすごく理解をしながらも、彼女とは別の感情もあって、もう一人の自分もすごく見えてきて、そういう気持を音楽で表現しました。」

☆『春の惑い』は5/10(土)よりBunkamura ル・シネマにて待望のロードショー!!
 (協力:朝日新聞社、配給:角川大映映画)

◇作品紹介『春の惑い』
◇公式頁『春の惑い』

(綿野かおり)