仮面ライダーで一躍スターダムに躍り出た藤岡弘、が、大人の俳優へと華麗に転身した幻のハードボイルド・アクションドラマ『白い牙』。藤岡弘、演じる悲劇の主人公・有光洋介は、かつては警視庁捜査一課のらつ腕刑事。だが、罠に嵌められて表舞台から葬り去られ、愛する人も去ってしまう。すべてを失った有光は「事件屋」として生まれ変わり、跳梁跋扈する悪人達を次々と消してゆく・・・。放映当時はその過激な内容に、様々な議論を巻き起こしたこの作品『白い牙』DVD発売を記念して、HMV渋谷では藤岡弘、さんをお招きして当時を振りかえってのトークショーが行なわれました。

「当時の私という男のハードなイメージが期待されていましたし、私自身もそういうアクションをやりたいと思っていました。そういう両方の気持がうまく合致したんじゃないでしょうか。あの頃は、仮面ライダーをやった後で、自分なりにもやりたい方向性が見えてきてきたので、身体を鍛えたりなどしてましたから。挑戦しようという気持が一杯でしたね。ですから主演が決まったときはうれしかった!それまで、自分は松竹でお世話になっていて映像でのノウハウみたいなものはたくさん勉強させてもらいましたが、松竹は「女優さんメイン」という感じだったので、私は「男としての自分」というものに非常に考えさせられました。ですから「男の俳優」としての契機がここからだったと思います。当時は若かったので未熟さと劣等感にさいなまれながらひとり大都会で日々不安との葛藤でした。そういうなかでも自分は「戦っていかなければならない」という緊張感は常にもっていました。ですから、そういう気持が演技の中にもあふれていたと思います。演じるというよりも、自分が感じたもの、感じたままを叩きつけていくようでした。主人公有光のように「見えないものと戦う」ということが、大都会でひとりで生活している未熟な自分が、どうにかして夢をつかんでやろうと格闘しているのと大きく共通していました。卵を毎朝3個丸飲みして、林檎かじりながら、バナナかじりながら、ナッツ食いながら、栄養とるために、納豆食ったり豆腐くったりしてました。「早く肉が食える男になりたいな」と思ってました(笑)。日課は腕立て30回、腹筋30回。とにかくハングリーで生活していくだけで精一杯でした。有光そのものが私と思っていただいでも過言ではないです。もうなにしろ本気でした。すべてのことに本気で取り組んでいました。まわりの皆さんもすべてが本気でしたね。あのころはそういう時代だったんです。今はなれあいだとか多くそうではなくなってきているようで、私なんかそのまま今も本気ですから、テレビに出るとたまに笑われてしまったりします。」

作品当時の自分と今の自分を「使用前、使用後」と話された藤岡さんですが、お話のなかには聞き捨てならないこんな発言も飛び出しました。

「当時の自分をみてると、「今だったらもっとうまくやれる!」と思う。世界各国を旅しましたし人間とはなんぞや、ということも多少は理解できるようになりましたし、昔みたいに情熱だけで乗り切るのではなく、ちゃんとエネルギー配分も考えてやれますよ。それだけの気力と洞察力とバイタリティーが今もあるんですけど、需要と供給がねぇ。今は日本はそういう時代ではないし、求められていないんですよ。ですからもう自分でやれる様に世界に向かいたい。やりますよ!」

なんともうれしいお言葉ではないですか!藤岡さんのアクションを再び見れる日は近いのかもしれませんね。

なお、ファンクラブのみでしか手にはいらなかった藤岡弘6分の1フィギュアも今回発売されています。藤岡さん御自身が”気”をいれたというこだわりの逸品。顔の表情や立ち方などにも何度も試行錯誤をくり返したという。実物の藤岡弘、さんより6分の1小さいサイズではありますがここからも藤岡弘、の熱いエネルギーをしっかりと受け取ることができること間違いなしでしょう。

★HMV渋谷でDVD『白い牙』を御購入した方には、ポートレイト生写真をもれなくプレゼント!先着50名様には貴重な直筆サイン入り!!

(綿野 かおり)