北野武の『Dolls』に続く監督第11作目は、初の時代劇となる『座頭市』。そう、故・勝新太郎の代表作として、現在でもあまりにも有名にして強烈な印象を放ち続けるヒーロー像に、監督・北野武、主演・ビートたけしが全く新しいアプローチで挑むのだ。
 3月27日、本作の製作発表記者会見が、ホテルオークラにて開催され、北野武をはじめ、森昌行プロデューサー、座頭市の敵である浪人・服部源之助役の浅野忠信、市を影で支えるおうめ役の大楠道代、浪人を雇う親分・銀造役の岸部一徳が登壇し、作品の製作への経緯と意気込みを語った。
 今回の作品は、北野とは旧知の間柄である齋藤智恵子氏から、ビートたけし主演による座頭市をとのラブ・コールがそもそもの発端。ただ、“勝新=座頭市”という確固たるオリジナルがある以上、単に出演でリメイクをしてもそれにとって代わることは困難。そこで、北野自身が監督としても参加し、独自の世界観を持った全く新しい作品として製作されることになったのだ。今回北野は、シャープな時代劇演出の合間に、ヒップホップ系のリズムによるタップ・ダンスを盛り込んだり、大衆演劇界で若手女形としてブレイク中の橘大五郎を起用するなど、新たなエンターテイメントとしての拘りが多々盛り込まれる予定だ。撮影は、3月30日よりクランクインする予定だ。
 北野は、「齋藤ママに言われた時には断ろうと思っていたのに、押し切られてしまって。ただ主演・監督を、やる条件としてはタイトルと、盲人で居合の達人という二つだけは踏襲しますが、後は全然違うものということで納得していただきました。頭の中では、かなり面白い感じがするので、期待して欲しい」とコメント。勝版市との違いについて質問されると、「頭の毛の色が違います」と答える北野。実際、急に染め違和感があるとまずいだろうと、『Dolls』の公開の頃から染めたのだそうだが、「理由を聞かれてもこれまでは答えられなかったんです」と語り場内を沸かした。そのほか、北野らしいウィットに満ちた質疑の模様は、ストリーミングでどうぞ。
 なお、『座頭市』は2003年9月、丸の内プラゼールほか全国松竹系にて拡大ロードショー公開!
(宮田晴夫)

□作品紹介
座頭市