『殺し屋1』、『荒ぶる魂たち』..裏社会に生きる静かで切ないアウトローの世界を描かせたら秀逸の三池崇史監督。最新作『許されざる者』は、その世界観の集大成とも言うべきキャストと複雑かつ深みを増したストーリーで三池アウトロー映画の頂点に立つ作品となった。主役を演じるのは『荒ぶる魂たち』でちょうど昨日、日本批評家大賞主演男優賞を受賞し「前作とは違うものを作りたい」と熱の入る加藤雅也が演じる。他にも、北村一輝、津川雅彦、根津甚八、美木良介、勝野洋、平田満など日本を代表する役者陣が勢ぞろいだ。また原案・脚本を三池作品では『荒ぶる魂たち』、『新・仁義の墓場』から3作目となる武知鎮則が手がけている。

物語は、親分への忠義を貫くべく復讐を誓った一人の男の人生を描く。兄弟・夫婦をも巻き込んだ暗殺計画の真相を、絡み合う人間模様から浮き彫りにする。「憧れることをしている人たちをオープンな感覚で集めた」(監督)という豪華キャスト陣により、アウトロー世界での深い、純粋な男の物語が描かれる。

完成報告記者会見に三池監督、加藤雅也さん、藤竜也さん、相田翔子さんが登壇した。

三池崇史監督—「カルトな人に集まっていただいて、深く楽しんでいただければと思ってます。最近はできるだけ自然体、殺ぎ落とした形でやっていければと思うようになり、アウトローの生活を一生懸命親切に描くっていうのも違うんじゃないかな、と思ったので荒っぽく撮ってます。」

加藤雅也さん(守部梓役)—「去年監督と『荒ぶる魂たち』をやらせていただいてそのときの脚本と監督と再び主演をすることになりました。単純な話かと思ったらすごい複雑なストーリーで脚本も完璧で。カルトな人たちからメジャーになっていく作品だと思ってます。」

藤竜也さん(芹田軍司役)—「久しぶりにふるさとへ帰って遊んでいるような気がしました。というのは、俳優始めてからほとんど10年間やくざ役やっていましたから。最近はなかったので、そういう意味でも気持ちよく撮影しましたね。」

相田翔子さん(梓の妻・洋子役)—「男くさい映画の中で、自分はその中でどういう存在でいたらいいのかという部分で悩んだのですが、演じているうちに人間くさい部分や弱さが浮き彫りになる場面に、自分の位置を見つけましたね。」

「三池の作品に出れば、もうからないけど何かを見つけられる、というのがゆっくり広がっていって、その結果いろんな人が遊びにきてくれる場所になればいい。」ヨーロッパにも多くの熱狂的なファンを持つ三池ワールドは、ここ日本でもさらなる支持を固めている。

なお、『許されざる者』は3月29日より[シアター]イメージフォーラムにて爆裂ロードショー!!

(Yuko Ozawa)

イメージフォーラム
加藤雅也公式HP