恋愛映画の名匠パトリス・ルコントが、1945年の巴里の娼館を舞台に、薄幸の娼婦マリオンと、彼女に見返りの無い愛を捧げるプチ=ルイの美しくも哀しい愛を描いた『歓楽通り』。今作でヒロイン、マリオンを演じたのは、15歳でデビュー以来、世界一流モード100誌のカヴァーを飾るトップモデルで、本作が本格的初主演映画となるレティシア・カスタで、ルコント・ワールドのミューズの歴史に新たにその名を連ねたのだ。
 2月18日、レティシア・カスタが、1月のパトリス・ルコント監督に続き、本作のプロモーションのため来日を果たし、その晩には芸能界・ファッション業界のセレブを招いての来日記念パーティが行われた。会場となった西麻生のALIFEは、紫煙とシャンソンが流れる中、当時の巴里を思わせる招待客の姿もチラホラ見られ、気分はすっかり《オリエンタル・パレス》。そんなゴージャスなムードの中、登場したレティシアが、パーティー前に作品について語ってくれた。
 本作の舞台は、1945年の巴里の娼館。演じるに当ってイメージしたのは、ドキュメンタリーじゃなくて、フィクション。ルコント監督の夢の中の娼館だそうだ。そんな娼館で、彼女に無償の愛を捧げるのが、パトリック・ティムシット演じるプチ=ルイだ。「全く見返りを期待しない愛は、一つの美しい愛の形だと思うの。またプチ=ルイは、生きる力をマリオンを通して自分に宿しているのね。本当に深い愛なの。でも、実際にもそうした深い愛はあると思うし、特に思春期や青春期の人たちにはそうだと思うわ。もし、そのように強い思いをよせられたら、私も逃げようとはしないと思うの」。
 本作の前にも、何本かの出演作はあるが主演は今回が初めて。「マリオンは自分の世界をきちんと持っている女性。映画では描かれていない不明な部分も多いのだけど、そういった部分は自分で想像し補って演じていったわ。彼女は娼婦として生きながら、常に理想を持っている。人を愛する気持ちを忘れずに、常に女性であり続けたの。そうしたことを意識して演じたの」。キャラクターについて熱心に語る一方、日本について訊ねられると「好きな食べ物はマグロ納豆で、行ってみたいのは京都」と、笑顔で答えるも、残念ながら取材等のスケジュールが忙しく、未だそうしたものをゆっくり楽しんでいる余裕が無いとか…。そんなレティシアへの歓迎をこめて、会見終了時には要潤、RIKIYAらイメメン男優達が、正装で彼女に花束をプレゼント。映画の中のプチ=ルイよろしくかしづく男性陣に、レティシアは晴れやかな笑顔で応えていた。
 なお、『歓楽通り』は2003年3月1日(土)よりシネマライズ、チネチッタ川崎にてロードショー公開!
(宮田晴夫)

□作品紹介
歓楽通り