2003年2月1日、埼玉県川口市に映像関連産業の発信拠点を目指すSKIPシティがオープンした。ここは、HDスタジオ、映像ホール、映像制作支援室などから構成される彩の国ビジュアルプラザをはじめとする、様々な施設が整っており映像関連の仕事に携わる人間にとっては、まさに夢のような環境が整っているといえる。

 そしてこの街のオープンを記念して、国内でまだ13館ほどしかない、デジタルシネマプロジェクター(DLP)による『Jam Films』の上映と『the messenger−弔いは夜の果てで−』の北村龍平監督、『コールドスリープ』の飯田譲治監督、そして河井信哉プロデューサーによるトークイベントが、2日行われた。DLPによる『Jam Films』の上映は一般向けでは初であり、それだけでもお得なのだが、他では聞けない『Jam Films』の制作秘話やレアな裏話が飛び出し、かなりユニークなトークイベントとなった。

『Jam Films』の制作のきっかけは?という質問に対して、河井プロデューサーは「日本以外の国のショートフィルムが良く出来ているのに対して、日本のショートフィルムはイマイチだな、と思う機会があり、短編映画なんだけれども地味なものではなく、エンターティメント性の強い娯楽作品として、普段は長編映画を撮っている監督にお願いしました。ただ、監督同士の横のつながりというのはなくて、その時に監督が撮りたいと思った作品を短編映画として撮ってもらったという感じです。目的としては、ショートフィルムの持っている表現方法としての役割、そして短編映画から見い出す、ゆくゆくは長編映画を撮れるような才能ある新人監督の発掘を目指しています。」と述べた。

 続いて、制作秘話などは?という質問に対しては、北村監督が「一番最初に撮り始めたのが僕だったんですが、最初規定された時間が8分〜10分程だったんです。でも、どうしてもオーバーしてしまって交渉をし続けてようやく12分位までに伸ばしてもらったのに、後から出来あがった他の監督さんの作品を見てみたら、全員自分よりも長くて、新人はこういう扱いなのかと思いました(笑)」と語ると、一方で飯田監督は「実は撮影日数にも規定があって、本当は1−2日で撮影を終われせなければならなかったんですが、ちょっとオーバーしてしまいまして5日間位かかってしまいました(笑)」と今だから明かせるエピソードを公開。
 また、一見単純に並べられているかのような、各作品の順番決めにも難航したそうで、特に堤監督の『HIJIKI」』は反則技(!?)ともいえるテロップが作品の前にあったため、順番的に4〜5番目にしなければ・・・などと河井プロデューサーは色々頭を悩ましていたとのこと。

 そして、和やかな雰囲気の中で進められたトークイベントの最後は、両監督の口から出た「最新の映像設備が整っているこのSKIPシティから、若い才能が出てくることを願っている」というメッセージで締めくくられた。

 今後、北村監督は『あずみ』『荒神−ARAGAMI−』『ALIVE−アライヴ−』の3作品の公開が控えており、また飯田監督もウズベキスタンでのロケが話題となった『ドラゴンヘッド』の公開を控えている。今度は、両監督の手腕が光る長編映画を楽しめそうだ。
(原由夏)

 なお、「Jam Films」は渋谷シネ・アミューズ、シネ・リーブル池袋にて絶賛上映中!!

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