今年のTOKYO FILMeX 2002で上映される日本映画6本のうち4本に出演されている俳優、寺島進について、日本映画に詳しいイギリスの映画評論家であり、バンクーバー国際映画祭のフェスティバルディレクターも務めるトニー・レインズ氏、最新作では寺島進を主演に起用したSABU監督、 監督デビュー作『おかえり』で寺島進の新しい一面を作った篠崎誠監督を招いて俳優・寺島進とは何かを語った。

−−−国際映画祭に多数出品されている中で、必ずいっていいくらい寺島進さんが出演されていますが、トニー・レインズからの視点で国際的に寺島進さんがどのように知られているのか実情を教えていただけますか?
トニー・レインズ「ヨーロッパにおいて俳優・寺島進は、北野武映画におけるヤクザであったり、警官であったりというイメージでしかなく、ようやく最近になって是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』『DISTANCE』といった作品やSABU監督の作品での寺島進、そして三池崇史監督の『殺し屋1』などでヤクザではあるか、インパクトあるキャラクターで少しずつ知られてきていますが、日本映画がまだまだ一般に公開されている本数が少ないため、一般で公開される作品の中では、北野武監督作品の中での寺島進が演じる役のイメージでしかないというのが実情です」

−−−篠崎誠監督と寺島さんとの出会いは?
篠崎誠監督「私がライターとして北野監督の作品の取材にいったときが最初で、その後に取材でいきなり酒を飲みませんか?とお誘いをかけてすぐに実現しました。その席の帰りに監督をするので、そのときは出演をお願いできますか?と声をかけたことがきっかけで、『おかえり』のシノプスを読んで頂いたりしました。」

−−−SUB監督と寺島さんとの出会いは?
SUB監督「私の場合は、いきなり出演させてくださいとアピールがありまして、それからの縁ですね。(笑)それから出演して頂いていますが、前作の『DRIVE 』の編集の際に、どうしてもカットできない気になる存在になって、昨年の東京フィルメックスの会場で、今回上映されます『幸福の鐘』の主演の話しを出しまして、どうしても主演で撮ってみたい俳優になりました。」

トニー・レインズさんは『殺し屋1』での寺島さんのシーンが一番印象的だったようで、撮影エピソードなど寺島さんから苦労話などが紹介された、会場は、期間中のイベントの中で一番多くの観客が集まり人気のトークショーとなった。

寺島さんの今後の公開待機中の出演作品は、東京フィルメックス上映作品の『幸福の鐘』(SUB監督)『蛇イチゴ』(西川美和監督)『カクト』(伊勢谷友介監督)『六月の蛇』(塚本晋也監督)のほか来年公開される『13階段』(長澤雅彦監督)などが待機している。
また、来年1月11日からシネマ下北沢で『刑事まつり』が企画上映される12名の監督が1人10分以内で1分につき最低でも1回ギャグを入れて製作される短編集、ここでも青山真治監督作品で主演される。