日本でもっとも人気のある香港スターのひとり、ケリー・チャンが、金城武とのコンビ3作目になる主演映画『ラベンダー』の公開を前に来日し、記者会見を行った。
 今回の映画でケリーが演じるのは、最愛の恋人を亡くした喪失感から立ち直れないアロマテラピスト。日々涙に暮れる彼女の前に、ある夜、金城の演じる天使が空から落ちてくる。天国に帰りそこなったという天使は、ケリーの元に留まり彼女の心を癒していく。注目の若手監督イップ・カムハンと、ケリーの作品ではおなじみ美術監督イー・チュンマン(『アンナマデリーナ』)によるおしゃれな映像も魅力的なファンタジックな映画だ。ケリーによると、その魅力はズバリ「とってもロマンチックであたたかい映画で、いい香りといい脚本といい俳優、アクトレス(笑)」とのこと。
「この映画は、香港でラベンダーブームという社会現象を巻き起こし、ラベンダーの香りのお香などが売られたりもしました。映画館では、もっともユニークな試みとして場内に香りを出す仕掛けを作り、ふたつのシーン——金城さんがバラのお風呂に入るシーンではバラの香りを、ラベンダー畑のシーンではラベンダーの香りを漂わせたんですよ」
 と、いかに人々の心をとらえたかをアピール。
 役に取り組むにあたって、ケリーは、アロマテラピーとマッサージを勉強したとのこと。劇中、金城がケリーにマッサージされるシーンでは本当に気持ち良さそうな金城なのだが、このことを訊かれると「彼は、一生懸命演技をしていたからそう見えたのでしょう」と謙遜していた。
 実は、この映画の撮影は、今から2年以上も前。当時の思い出として今も心に残っているのは、南仏プロヴァンスでのロケ撮影のことだそうだ。というのは、
「私は花アレルギーで、スタッフもそれを知っていて大丈夫だろうかと心配していたんです。でも、実際にプロヴァンスに行ってみたら何でもなかったの」
 アレルギーも吹き飛ばしたプロヴァンスのシーンの数々は必見だ。
 この会見には、映画を見て感動したというイラストレーターの水森亜土から「花びら浮かべてお風呂タブにつかっているとき涙の落ちる音、心にずわーんと響き、なんとろまんちっくな」というメッセージと、この映画のために描き下ろしたという宣伝ポスターが贈られている。現在再ブームの兆しと言われる亜土ちゃんのイラストポスターを目にしてケリーも「カワイイ」と日本語でコメント。
 超売れっ子のケリーは、クリスマスも仕事漬けになりそう。多忙な中での来日だったが、元気のコツは「仕事もプライベートもエンジョイするよう一緒に考えること。私自身は明るい楽天的なキャラクターですし、やはり自分のまわりのスタッフの皆さんともなかよくするようにしています」と語った。(みくに杏子)

『ラベンダー』は、2003年1月下旬より。シネ・リーブル池袋にて公開(全国順次公開)

公式サイト http://www.twin2.co.jp/Lavender/index.html