昨年の『エデン』に続き、第3回東京フィルメックスでも『ケドマ』が特別招待作品として上映されるイスラエルの巨匠アモス・ギタイ監督。その製作現場に密着したドキュメンタリー『インディペンデンス〜アモス・ギタイ監督作品『ケドマ』をめぐって』が、『ケドマ』の映画祭上映を前に、12月1日、日本外国特派員協会にて緊急プレス試写が開催された。この作品は、日本人映画評論家の藤原敏史氏が監督をつとめ、撮影は藤原監督によるイスラエル、カンヌのパートと、アピチャッポン・ウィーラセタクン(第3回東京フィルメックスコンペティション作品『ブリスフリー・ユアーズ』監督)によるパリのパートから成り、本来は100分程度の作品として完成したものだが、今回の『ケドマ』上映に先駆けて、藤原監督自身が約半分の長さに再編集したヴァージョンで、ワールドプレミア上映されたもの。終映後には、藤原監督が記者からの質問に答えてくれた。
 もともとギタイ監督とは交友のあった藤原監督が、撮影現場に遊びに来ないかと誘われたことがきっかけで、イスラエルでドキュメント映画を撮ることになった藤原監督。本作以外でも、イスラエルでドキュメントを撮る話があるとのこと。「向こうの人たちは、自分からドンドン話したがってくれるから、日本以上にドキュメンタリーは撮りやすいです」。また、イスラエル側ではなく、パレスチナ側の人々を撮る気はないのかとの問には、「戦乱の真只中にいる人達を撮っても、全ての人が今はなんと厳しいかと言う状況を語ることに終始してしまう。むしろ、イスラエルで市民権を取り、暮らしている極々普通のパレスチナの人々について撮っていきたい」そうだ。
 なお、本作の舞台となった『ケドマ』は、12月5日11時10分からと12月8日13時10分からの2度、有楽町朝日ホールにて上映される。
(宮田晴夫)

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