韓国での公開時は100万人を超える動員を記録する大ヒットとなり、女性ファンからは“カップルで観たい映画NO.1”に選出された『ラスト・プレゼント』がお正月映画として12月より待望のロードショー公開がスタートする。なかなか芽が出ないコメディアンの夫に、表面では叱咤しつつ支える妻。しかし、二人に残された時間は、あまりにも短かった…。メロドラマとしての王道を行く物語には、ひょっとしたら身を乗り出しにくい男性陣もいるかもしれないけれどは、コミカルな味付けが利いていることもあってベタな印象は意外に少ないし、何より妻役のイ・ヨンエの魅力的な立ち振る舞いを追っているだけでも至福な一時がおくれるはずだぞ。
 11月27日、本作の特別チャリティ試写会が、韓国文化院の主催、財団法人骨髄移植推進財団の後援にてイイノホールで開催され、上映前に舞台挨拶も行われた。舞台挨拶では、韓国文化院金委員長が、本作をはじめとする様々な映画を通し韓日両国の大衆文化交流のさらなる促進を、骨髄バンク高久理事長が今後さらに必要性が高まるであろう骨髄バンクへの広い理解と支援協力を語ったのに続き、本作で劇場用監督作品デビューを飾ったオ・ギファン監督が舞台に立った。
 「皆様にお会いできて、とても嬉しいです。この映画は、とても悲しい映画として紹介されているかもしれませんが、実際はとても楽しいコメディ映画であると思ってます。お楽しみいただければと思います」開口一番達者な発音の日本語を交えて挨拶したオ監督は、広告代理店に勤務していた頃日本で研修を受けていたことがあり、日本には度々来日をしている。「新宿や新大久保のあたりに行くと、故郷に戻って来たような気持ちがしますね」(オ監督)。
 本作は、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』のキム・サンジン監督からの話がスタートだったそうだ。「楽しくて、笑えて、悲しい映画。男はコメディアンで女性は不治の病にかかっている…そう聞いた途端これは面白いぞと一つ返事で引き受けたんです」。そして、「この映画を観ていただいて、皆さんの周りにちょっと悲しそうな方がいらしたら、そうした方を思いやってあげられるような気持ちになっていただけたらと思います。この映画を観たあとで皆さんの家族、友人のことを振り返ってみてください」と作品のメッセージを語った。オ監督は上映終了後にもファンへのサイン会を行うなど、その実に気さくな姿が作品相俟って印象的だった。

 なお、『ラスト・プレゼント』2003年12月7日より日比谷シャンテシネにてロードショー!
(宮田晴夫)

□作品紹介
ラスト・プレゼント