巨匠マーティン・スコセッシ監督が30年来の思いを込めて撮った『ギャング・オブ・ニューヨーク』。今年のカンヌ映画祭では、ダイジェスト版であったにも関わらず公式出品され、絶賛されたが超大作がついに完成、12月21日からの日米同時公開に先駆けて、11月21日ジャパン・プレミアが渋谷パンテオンにて開催され、一般観客に向けてでは世界初となる完成作の上映が行われた。今回の上映では、キャンペーンのため来日中だった、スコセッシ監督と主演のレオナルド・デカプリオが舞台挨拶を行うとあって、一般映画ファン・マスコミ双方からの注目度も最高潮で、劇場周辺にはプレミアチケットに当選した幸運なファンは勿論のこと、劇場入りするディカプリオの姿を人目みようという熱狂的なファンが早い時間から集まり、大混雑。ゲストの二人は当初劇場正面からの入場を予定していたにもかかわらず、その混雑振りにリムジンが乗り付けられずに、他の入り口から入ってからあらためて正面入り口付近のファンの歓迎に応える一幕も。
 そしていよいよ、ジャパン・プレミアのスタート。パンテオンの舞台に黒の正装で二人が現れると、場内は割れんばかりの声援の嵐。ことにディカプリオファンによる「レオ!」「レオ!」の嬌声は、いつまでも引く気配が無い。
 「今まで沢山のニューヨークの映画を撮ってきたけど、これは究極のニューヨーク・ムービーであり、これまで撮ったどの作品よりも深いもの」と、自身と達成感に満ちた表情で語るスコセッシ監督は、今回が24年ぶりの来日。今回の作品は、イタリアのチネチッタ撮影所に当時のニューヨークを忠実に再現した大規模なセットを組んだもの。「チネチッタはフェリーニやビスコンティら名匠が映画を撮ったところであり、そこにはマジックが存在する。そして美術を担当したダンテ・フェレッティをはじめ、映画つくりに職人が沢山いる。彼らの協力を経て作った本作のセットは、チネチッタの歴史の中に残る特に素晴らしいものになったよそして、そこで素晴らしい演技を見せてくれた若きアクター、ディカプリオには本当に感謝をしてるんだ」(スコセッシ監督)。
 一方ディカプリオも念願だった初コラボレーションの感激を、熱っぽく語る。「ハリウッドでは口にするのも恥ずかしいくらい、皆が口を揃えてスコセッシ監督と仕事がしたいという。かく言う僕も勿論そう思っていたし、まさに念願の夢が叶ったという言葉に尽きるね。巨匠と言われる方は沢山いるけれど、作品を何度も見たいという監督は少なく、スコセッシ監督はそんな一人です。監督はご自身の芸術性を常に高めているんだ」。さらに、次回作も再び二人のコラボレーションになりそうだと、嬉しそうに報告する。今回の作品では、撮影スケジュールの変更もあり、1年間もの期間にわたって鍛えぬいた体を維持して作品に臨み、共演のキャメロン・ディアスとのラブシーンも、見応えのあるものになったと語るディカプリオに、劇場内の女性ファンの期待は絶頂に。
 締めのメッセージでは、初めての観客である会場の人々と、自身に多大な影響を与えた日本映画陣への感謝の気持ちをスコセッシ監督が、また歴史から抹消されこれまで誰も見たことが無い作品世界を堪能して欲しい旨をディカプリオがそれぞれ語った。

なお、『ギャング・オブ・ニューヨーク』は2002年12月21日(土)より全国松竹・東急系にてロードショー公開!
(宮田晴夫)

□作品紹介
ギャング・オブ・ニューヨーク