東京国際映画祭の協賛企画として10月27日から開催中の「コリアン・シネマ・ウィーク2002」で、チョン・ユンス監督「イエスタデイ」の主演女優であるキム・ユンジンが来日し、10月30日、既に来日していたチョン監督、「達磨よ、遊ぼう」のパク・チョルグァン監督、「フー・アー・ユー」のチェ・ホ監督、「オーバー・ザ・レインボー」のアン・ジヌ監督、「海賊、ディスコ王になる」の若手キム・ドンウォン監督らと都内のホテルで記者会見を、その後、主演作「イエスタデイ」のチョン監督とともにヤマハホールに集まった観客を前にティーチインを行った。
 本作でキム・ユンジンが演じたのは、養父である警察庁長官の拉致事件を追う犯罪心理学者。と書くとシンプルな役に見えるが、決してそうではない。役柄に対して会場から出た質問に対し、彼女は
「私の演じた役は、心理学を研究する多様性を持った女性の役で、さまざまな色合いを持っています。秘密も持っていて、それをある程度観客に伝えなければいけない。そのあたりは監督と話し合いながら演じました」とその演技の難しさを吐露。出演依頼を受けたときのことについては
「監督からいちばん最初にシナリオをもらったとき、1度読んで表紙を閉じたのですが、またすぐに読みたくなりました。それくらい興味深いシナリオでした。また、皆さんもご存知の通り、私の役は複雑な役でありながらも魅力のある役だと思いましたし、2020年という近未来が背景で想像もできないものでしたが、人間にとってとても大きな問題も描かれており、そういうことも含めて考えてお受けしました」と演技者として感じた作品の魅力に言及していた。
 2度目のティーチインとなったチョン監督には、最近、韓国には『火山高』や「バタフライ」(日本未公開・昨年の東京国際映画祭で上映)など近未来ものが多いのではないかという質問が寄せられた。これに対し、
「それは偶然だと思う。個人的には、社会的背景を見ると韓国では1999年くらいから社会に対する不安などがあり、それが同じ時期にこうした映画として現れたのではないかという考える。2020年の韓国は、国際化され多国籍化しているだろう」と未来観を語った。(みくに杏子)