第15回東京国際女性映画祭の記者会見が東京・渋谷ウィメンズホールで開催された。
会場にはジャンヌ・モローをはじめとした8人の女性監督が会見にのぞんだ。
また次代を担う若手として日本映画学校の2名と東京国際映画祭のジェネラルプロデューサーの川内さんも会場を訪れ、15回という節目の会見を盛り上げていた。

ジャンヌ・モロー:第1回東京国際女性映画祭で彼女の監督作『ジャンヌ・モローの思春期』が上映された

ヨーロッパで女性が映画を撮る環境について述べさせていただくと女性が映画を撮るということは男性と同等のこととして受け入れられている。女性も男性と同じ立場で仕事をすることができる。
女性が映画という世界にすっかりなんじでいるといえる。今日はこの会場に世界各国の女性監督が揃っているので、彼女達の映画に対するアプローチをぜひお聞かせ頂きたいと思う。

ジョゼ・ダヤン:今年のフランス映画祭横浜でも上映されたジャンヌ・モロー主演の『デュラス 愛の最終章』が出品されている。

最近のアジア映画には力があると聞いている。アジアの様々な国の監督の話を聞けることをうれしく思っている。そして今回このような場に自分がいるのはジャンヌのおかげであり、非常に彼女に感謝している。

クリスティン・ハキム:『囁く砂』の主演女優であり、インドネシアを代表する女性監督

インドネシアの映画は100年の歴史を持つ。この間に作られた映画は男性の手によるものであった。
現在は隣のナン・アハナスと私が女性の監督として映画を作っている。女性をステレオタイプとして描くインドネシア映画界において、これはとても大きい意味を持つと思う。そんな私にインスピレーションと精神的影響をを与えてくれたのは、高野さんとジャンヌ・モローさんである。そしてこの映画祭を通じてたくさんの方と知り合えたことをうれしく思っている。

ナン・アハナス:今回の映画祭に出品されている『囁く砂』の監督

偉大な業績を残す先輩監督達と同じ場にいることを、心からうれしく思う。今、インドネシアは映画の復興期にある。インドネシアでは私の作品を「女性による女性の映画」と評した。しかし私は自然
な姿の女性を撮り、性別に関係のなく、監督という仕事を全うしただけであるとこの場をかりて言いたいと思う。

熊谷博子:第15回東京国際女性映画祭記念作品『映画をつくる女性たち』を出品

東京国際女性映画祭の15回を記念するドキュメンタリーを撮るにあたり、20数名の女性監督の話を聞いた。ある方は女性が監督であることがわかると、照明を消されたこともあると語っていた。そんな時代の中で、一生懸命映画を作る女性監督の話を聞くことができたのはとてもよかったと思う。たくさんの魅力的な女性が登場する、人生の格闘技映画に仕上がった。ぜひ、ご覧頂きたい。

羽田澄子:第1回東京国際女性映画祭で唯一の日本人として作品を出品した

第1回の時に出品した『AKIKO あるダンサーの肖像』は、ドキュメンタリー畑の自分にとってどんな評価を受けるかとても緊張した。しかし多くの方から好評を得て、またジャンヌ・モローさんにもほめていただけて非常に自信を持つことができた。そんな第1回から月日が流れ、続々と女性監督が登場し、非常にうれしく思う。映画は技術ではなく、作り手の人柄によると思う。映画が作りやすくなった今だからこそ、男女の区別に関係なく、まさに作り手の資質が問われる時代であると思う。

ヴィエト・リン:今回の映画祭に出品されている『メタオ』の監督

このような映画祭を開催するには大変な苦労があったと思う。また映画界における先人者達の苦労も並ならぬものだったと思う。映画の主催者そして先駆者に感謝の念を込めたい。そして会場に集まって頂いた皆様にも感謝したい。アリガトウ。

藤原智子:東京国際女性映画祭には計4本の作品を出品している

この『伝説の舞姫』は、過去にジャーナリストから「勇気がある」と言われたもの。この言葉には「怖いもの知らず」という意味が込められていた。というのもこの映画を作った時代は、南北朝鮮の対話がはじまった時期であり、この国々での作品に対する批判がとても気になった。しかし韓国で上映したところ、とても好評だったので安心した。そして今年、再上映するにあたり、北朝鮮では拉致問題などが議論されており、この作品は朝鮮半島とは切り離せない作品なのだと思った。

記者会見では予定の時間を大幅にオーバーして、活発な意見交換がなされ、映画祭の台所事情まで話が及んだ。

なおこの東京国際女性映画祭は10月28日〜10月31日の会期で開催される。
(Mika Saiga)