今年も有楽町で映画の天使を見つけよう!作家性豊かな作品と、魅力溢れる作り手たちを過去2回にわたって紹介してきた“新・作家主義国際映画祭”東京フィルメックスが、12月1日(日)から8日(日)までの8日間、昨年同様有楽町朝日ホールをメイン開場に開催される。前回同様、東京フィルメックス・コンペティション(9作品)、特別招待作品(12作品)、特集上映(2作品)という三つのカテゴリーから構成され、会期中に全23作品、35回の上映が行われる。
 去る9月26日、有楽町の日本外国特派員協会にて、第3回東京フィルメックス TOKYO FILMeX 2002のラインナップ発表会見が開催された。またこの日の会見では、招待部門に出品される3作品のSABU監督、塚本晋也監督、黒沢清監督(審査員も)がゲストとして登壇し、映画祭や作品についての質疑も行なわれた。

東京フィルメックス・コンペティション

 2002年に製作された(内3作品はポス・プロ中)オリジナリティとクリエイティヴィティを感じさせる9作品がエントリー。5名の審査員に厳正に審査され、最優秀作品賞『コダック VISION アワード』(副賞としてコダック社より賞金100万円)、審査員特別賞(副賞として50万円)が最終日に発表される。

コンペティション作品

カクト KAKUTO
日本/2002年/108min/カラー/1.85/監督:伊勢谷友介/配給:ザナドゥー
蛇イチゴ Wild Berries
日本/2002年/108min/カラー/1.85/監督:西川美和/配給:ザナドゥー
死んでもいい Too Young To Die
韓国/2002年/67min/カラー/監督:パク・ジンピョ
チキン・ポエッツ Chicken Poets
中国/2002年/94mn/カラー/1.85/監督:モン・ジンホイ
ブリスフリー・ユアーズ Blissfully Yours
タイ/2002年/125min/カラー/1.66/監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
ギリギリの二人 Nothing To Lose
タイ、シンガポール/2002年/90min/カラー/監督:ダニー・パン
右肩の天使 Angel On The Right
タジキスタン/2002年/89min/カラー/1.66/監督:ジャムシェド・ウスモノフ
生きる Zeestan
イラン/2002年/85min/カラー/1.66/監督:レザ・ソブハニ
小雨の歌 小雨之歌 Southbound Swallow
台湾/2002年/88min/カラー/監督:リェン・チンホァ

なお、東京フィルメックスは新進作家の作品を対象にしているが、特に本数、経験年数等の制限は設けていない。しかし今回は、あくまで選考の結果なのだが1本を除き全てが監督デビュー作という陣容となり、まさにフレッシュな才能との出会いが楽しめそうだ。コンペの審査員は下記のとおり。

コンペティション審査委員

【審査委員長】アン・ソンギ(韓国 / 俳優)
アン・ホイ(香港/監督)※特別招待作品=『幽霊人間』
アミール・ナデリ(アメリカ/監督)※特別招待作品=『マラソン』
ジャン=ミシェル・フロドン(フランス/ジャーナリスト、映画批評家、映画史家)
黒沢清(日本/監督)※特別招待作品=『アカルイミライ』
黒沢清監督——フィルメックスのアジアという部分に関して市山ディレクターに質問したところ、「それはわりとどうでもいい。世界中からなんとなく面白い映画を集めてきた、それが本音だ」ということを聞きました。ですからこの映画祭は、東京フィルメックスという名前ですが、林加奈子(ディレクター)と市山尚三が世界中から面白い映画を集めてきて、「さあ黒沢どうだ審査してみろ」と挑戦状を叩きつけている映画祭だと理解しました。ですから、勿論アジア映画がコンペティションに選ばれていますが、あまりアジアという枠は考えず、どれが一番僕にとって刺激的か、それをお二人に提出するのが僕の役目だと考えています。それで審査員をお受けしました。

特別招待作品

 国際映画祭で受賞した話題作・秀作等がいち早く上映される特別招待作品部門。『エルミタージュ 幻想』と『アカルイミライ』はハイビジョン上映を予定している。今年は、全体の1/4を締める4本の邦画が上映されるが、これに関しても、特に邦画に重点を置いたと言うわけではなく、あくまで作家重視の結果からの選定とのこと。

★オープニング作品★エルミタージュ 幻想 Russian Ark
ドイツ・ロシア・日本/2002年/96min/カラー/1.85/監督:アレクサンドル・ソクーロフ/配給:パンドラ
★クロージング作品★月曜日に乾杯! Monday Morning
フランス・イタリア/2002年/122min/カラー/1.66/監督:オタール・イオセリアーニ/配給:ビターズ・エンド
オアシス Oasis
韓国/2002年/132min/カラー/1.85/監督:イ・チャンドン
チャンピオン Champion
韓国/2002年/117min/カラー/2.35/監督:クァク・キョンテク/配給:メディア・スーツ
青の稲妻 Unknown Pleasures 任逍遥
中国・日本・韓国・フランス/2002年/112min/カラー/1.85/監督:ジャ・ジャンクー/配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
幽霊人間 Visible Secret 幽霊人間
香港/2001年/98min/カラー/1.85/監督:アン・ホイ
ケドマ Kedma
イスラエル/2002年/100min/カラー/1.85/監督:アモス・ギタイ
マラソン Marathon
アメリカ/2002年/74min/モノクロ/監督:アミール・ナデリ
アカルイミライ Jellyfish Alert
日本/2002年/115min/カラー/1.85/監督:黒沢清/配給:アップリンク
曖昧な未来・黒沢清 KUROSAWA KIYOSHI Alert
日本/2002年/74min/カラー/監督:藤井謙二郎/配給:アップリンク
幸福の鐘 The Blessing Bell
日本/2002年/87min/カラー/1.85/監督・脚本:SABU/配給:東北新社
SABU監督——フィルメックスは昨年、林さんがディレクターをしている映画祭だということで来たのですが、イラン映画等を特集してるところとかがいいなと、すごく信用できる映画祭ディレクターたちなので、いい映画祭になっていけばと思っています。
六月の蛇 A Snake of June
日本/2002年/77min/アシディック・ブラック&ホワイト/1.33/監督:塚本晋也/配給:ゼアリズエンタープライズ
塚本晋也監督——作品に関して僕のほうからこう見て欲しいというのは無いですが、エロチックな描写がきついところがありますので途中で出てしまう方がいるのではないかと思ったんですが、ヴェネチアでの初上映では女性の方のほうが喜んでくれて、ちょっとうきうきしてるんですけど、ただ日本で同じ反応を得られるとは全く限らないのいで、非常に不安なまままた新たなる時を感じています。映画祭には沢山参加している…とは言ってもファンタ映画祭専門なんですが(笑)、小さいからなのかも知れないですけど、非常に多くの監督と出会えて、話をできたり親睦が深められるのがいいことですね。フィルメックスでも、外国からきたお客さんと親睦が深められる映画祭になることを期待しています。

特集上映 知られざるロシア映画

 2000年のロカルノ国際映画祭で反響を呼んだ“ソビエト時代のもうひとつの映画史”から、骨太な叙事詩ドラマ『再生の街』と、ヌーヴェル・ヴァーグを思わせる瑞々しさ溢れる『夕立ち』を上映。

再生の街 Workers’ Settlement
ソ連/1965年/138min/モノクロ/2.35/監督:ウラジミル・ヴェンゲロフ
夕立ち / July Rain
ソ連/1966年/109min/モノクロ/2.35/監督:マルレン・フツィエフ

 なお、映画祭の前売券は、10月12日(土)より、チケットぴあ(tel 03-5237-9999)、ローソンチケット(tel 0570-00-0403 *一部の携帯および全てのPHSは通話不可)、イープラス(http://eee.eplus.co.jp)にて発売開始。1回券が1,200円(当日1,500円)の他、3回券・10回券等の回数券も発売される(ディスクガレージ オフィシャルホームページ内『GET TICKET』限定)。その他詳細は、下記公式ホームページを参照のこと。
(宮田晴夫)

□公式頁
東京フィルメックス