“呪怨”とは、強い怨念を抱いたまま死んだモノの呪い。それは死んだモノが棲していた場所に蓄積され、「業」となる。その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。

 99年にオリジナルビデオとして発表されると、最強・最恐・最凶の国産ホラー作品として、普通の映画ファンはもとより、すれっからしのホラー・マニアのドギモをもぬいた『呪怨/呪怨2』が、35ミリ劇場用完全新作映画版『呪怨』として完成。ビデオ版で描かれなかった忌まわしき怨としての伽椰子さん誕生の発端を明らかにした後、一見何の変哲も無い郊外の一軒家を舞台に時間を錯綜して展開される恐怖は、今回も留まるところを知らず、さらに加速していく。
 2003年1月からのロードショー公開が決定した本作の完成披露試写会が、9月24日テアトル新宿にて開催された。開演前の劇場内の照明は最小限にまで落とされ、そこここを覆う闇には何かの気配が潜んでいそう。劇場ロビーには、あまりにも強い怨念を抱いた伽椰子さんを鎮めるため遺影が飾られ線香の煙が漂い、またその恐怖に不慮の自体に陥るやもしれない観客のために、白衣の看護婦と医者が酸素ボンベを準備して待機する念のいれよう。ほとんど、ウィリアム・キャッスルの『MACABRE』のノリだ。しかし、今では恐怖よりムードを楽しむキャッスル作品に比し、本作の恐怖表現を考えればこの措置は当然なのかも?
 また作品の上映前には、観客に魔が降りかかるようなことが無いようにと、新宿・稲荷鬼王神社の神官を招いて、厄除けと映画の成功を祈っての御祓いの儀も執り行われ、ムードを高めた。ビデオ版に引き続き本作の監督・脚本を手掛けた清水崇監督は舞台上に設えられた神前に立つと、二礼拍手一礼をし、観客もそれに倣い無事厄除けは終了。「今日は沢山の方に来ていただいてありがとうございます。突然のことに、皆さん驚かれたかと思いますが、これで無事に見ることが出来ると思います。この映画は、僕としてはお化け屋敷のような、恐怖描写に徹した形です。楽しんでいただけると思います。ゆっくりごらんになってください。」との、清水監督の挨拶に続き、作品が上映された。

なお、『呪怨』はテアトル新宿にて、2003年1月下旬よりロードショー公開!。
(宮田晴夫)

□作品紹介
呪怨