7月より定例的に開催されている東京国際映画祭のプレス会見が、9月5日銀座東武ホテルにて開催され、10月26日からの開幕まで二月を切った、第15回記念大会の新たな情報がマスコミに解禁された。
 まずは映画祭のメイン企画であり、作家性と市場性の融合をひとつのテーマに行われるコンペティション部門の審査員について。既に前回の会見で、審査委員長がリュック・ベッソン監督に決定したことは発表されていたが、この日の会見でフルメンバー5名が決定したことが川内通康ゼネラル・プロデューサーより発表された。

コンペティション国際審査員
審査委員長:リュック・ベッソン映画監督『レオン』他
審査委員:ジャック・カーディフ撮影監督『赤い靴』他
審査委員:黒澤和子衣装『まあだだよ』他
審査委員:リー・チーガイ映画監督『不夜城』他
審査委員:パク・チャヌク映画監督『JSA』他

 2001年の米アカデミー名誉賞を授与された現役最高峰のカメラマン、ジャック・カーディフ氏は、日本撮影監督教会と東京国際映画祭との共同での招聘となり、11月2日にはシアター・コクーンにて氏の代表作である『赤い靴』と『黒水仙』の特別会場が開催される。また、巨匠・黒澤明監督の長女でもある和子氏は「丁度明日で父が亡くなってから4年になるが、最近ますます夢に出てきて映画界のことを心配しています。人が映画を楽しむための努力は惜しまぬよう、生前から言われてきましたので、若輩者ながらお役に立てれば幸いだと思います」とコメント。なお、47ヶ国・地域から319本がエントリーし、その中より厳選された15作品が競うコンペティション参加作品も邦画以外は下記の通り決定した。

コンペティション作品
アンジェラ Angela
2001年/95min/イタリア語/監督:ロベルタ・トッレ
藍色大門 Blue Gate Crossing
2002年/84min/中国語/監督:イー・ツーイェン/配給:ムービーアイ エンタテインメント
ブロークン・ウィング Broken Wings
2002年/87min/ヘブライ語/監督:ニル・ベルグマン
シティ・オブ・ゴッド City of God
2002年/135min/ポルトガル語/監督:フェルナンド・メレレス/配給:アスミック・エース エンタテインメント
わが故郷の歌(仮題) Marooned in Iraq
2002年/108min/クルド語/監督:バフハン・ゴバティ/配給:オフィスサンマルサン
変身 Metamorphosis
2002年/80min/ロシア語/監督:ワレリー・フォーキン
希望の大地 Promised Land
2002年/100min/英語、アフリカーン語/監督:ジェイソン・セノポルス
バーグラーズ 最後の賭け SASS
2001年/112min/ドイツ語/監督:カルロ・ローラ/配給:オンリー・ハーツ
荒野の絆 Skins
2001年/84min/英語/監督:クリス・エア
恋人 Sky Lovers
2002年/93min/中国語/監督:ジャン・チンミン/配給:ドラゴン・フィルム
ベンデラ −旗− The Flag
2002年/75min/インドネシア語/監督:ナン・アフナス
風の中の鳥 The Wind Bird
2002年/125min/シンハラ語/監督:イノカ・サティアンガニ

 なお、「東京。アジア。そして世界へ」という東京国際映画祭のテーマを軸に、日本映画界の発展・育成を支援する東京フィルム・クリエイターズ・フォーラムが今回改称され、ニッポン・シネマ・フォーラム(NCF)となった。NCF委員長代表の原正人氏の概要説明によれば、映画祭期間中にBunkamura Galleryに設置される“Movie Gallery”、映画祭期間に捕らわれず開催中の“Producers’ Survival Workshop”、日本映画製作者協会主催の日本インディペンデント映画祭と東京国際映画祭のレギュラー企画であったニッポン・シネマ・ナウの合体企画でバラエティに富んだ新作日本映画15本を上映し、うち新人監督作品の中から優れた作品を賞する新藤兼人監督賞を授与する“トーキョー・フィルム・メーカーズ・コンベンション(TMFC)”、映画“情熱”評論家小松沢陽一氏と映画人とのトークショーなど、日本映画界を活性化すべく数多の企画が展開されるとのこと。

 また日本映画の歴史的名作・傑作を内外にアピールするニッポン・シネマ・クラシックでは“青春、映画、唄〜スクリーンを彩ったあの旋律〜”をテーマに、戦前3作品・戦後4作品という7本の歌謡映画が、弁士・楽団付という当時のスタイルで上映予定とのこと。

 話題作・人気作が並ぶ華やかな特別招待作品も、全14作品が出揃った。今年は映画祭側の予てからの願いであった、オープニング or クロージングに日本映画を…との思いに答える作品が誕生し、クロージングを邦画が飾ることになったのも話題だ。

特別招待作品
★オープニング・スクリーニング マイノリティ・リポート Minority Report
2002年/146min/英語/監督:スティーブン・スピルバーグ/配給:20世紀フォックス
★ゴジラ × メカゴジラ Godzilla against Mecha-godzilla
2002年//日本語/監督:手塚昌明/配給:東宝
ジャム・フィルムズ Jam Films
2002年//日本語/監督:飯田譲治、岩井俊二、北村龍平、篠原哲雄、堤幸彦、望月六郎、行定勲/配給:アミューズピクチャーズ
ジョンQ 最後の決断 John Q
2002年/116min/日本語/監督:ニック・カサヴェテス/配給:ギャガ=ヒューマックス共同
★K−19 K-19:The Widowmaker
2002年/138min/英語/監督:キャサリン・ビグロー/配給:日本ヘラルド映画
恋に唄えば♪ Koi ni Utaeba
2002年//日本語/監督:金子修介/配給:東映
裸足の1500マイル Rabbit-Proof Fence
2002年/94min/英語/監督:フィリップ・ノイス/配給:ギャガ・コミュニケーションズ
ラスト・ワルツ The Last Walts
1978年/117min/英語/監督:マーティン・スコセッシ/配給:20世紀フォックス ホーム エンタテインメントジャパン
★戦場のピアニスト The Pianist
2002年/148min/英語/監督:ロマン・ポランスキー/配給:アミューズピクチャーズ
★ザ・リング The Ring
2002年//英語/監督:ゴア・ヴァービンスキー/配給:アスミック・エース エンタテインメント
オールド・ルーキー The Rookie
2002年/127min/英語/監督:ジョン・リー・ハンコック/配給:ブエナ・ビスタ・インターナショナル
★トランスポーター The Transpoter
2002年/94min/英語/監督:ルイ・レテリエ、コーリー・ユン/配給:アスミック・エース エンタテインメント
風の絨毯 The Wind Carpet
2002年///監督:カマル・タブリーズィー/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
★クロージング・スクリーニング 壬生義士伝 Mibugishiden
2002年//日本語/監督:滝田洋二郎/配給:松竹

 また、11月4日にはクロージング作品とは全く別に、夜10時頃より東京国際映画祭史上初の試みとして、超話題作のスニーク・プレビュー(完全覆面試写)を開催、最後まで観客の関心を捉え続ける映画祭になりそうだ。

 なお、映画祭上映作品のチケットは、スペシャル・パス(9月21日発売)及び一部作品を除き、10月5日からチケットぴあでの販売開始となるが、この一般販売に先行して電子チケットサービスによる先行抽選販売が決定。これは、NTTドコモ・504iシリーズ利用者でiモードチケットぴあ及び東京国際映画祭iモードサイト会員登録者(登録料無料)を対象に行うもので、上記特別招待作品中★印のついた7作品に関して、9月21日(土)から24日(火)の間に両サイトにて先行抽選の申し込みを受付、当選者には9月30日にメールにて通知が送られる。クレジットカード決済で、当日は電子チケットをダウンロードした携帯端末の赤外線ポートから会場ゲートの赤外線ポートに通信処理を行うことで入場するという、東京国際映画祭に限らず世界初の試みだ。また電子チケット購入者には、東京国際映画祭オリジナル・グッズの無料引換券が「電子クーポン」としてプレゼントされ、惜しくも先行抽選に外れた方にも、一般発売前に別途先行販売の機会が用意されるなど、504iシリーズ・ユーザーの映画ファンには、なんともお得なサービスになるようだ。詳細は、下記公式頁を参照のこと。
(宮田晴夫)

□公式頁
第15回東京国際映画祭
第15回東京国際映画祭iモードサイトhttp://www.tiff-jp.net/i/
WEEKLYぴあ@チケットhttp://www.t.pia.co.jp/