映画も携帯で観る時代☆ケータイシネマ計画「アカツキ」
遂にケータイで観る映画が登場。「シブヤマニアweb」で進行中の「ケータイシネマ計画」がそれ。『ダンボールハウスガール』『玩具修理者』の佐々木亜希子プロデューサーが手腕を揮い、ショートフィルム集をつくろうという計画で「携帯では1回15秒しか観られないし、画面のサイズ、音の聞こえ方も普通の映画を観るのと違いますが、携帯を使って気軽に観る、観させる、観たいと思える作品を作ってこうと、監督達と相談しています」と佐々木プロデューサー。 実際の携帯電話で1回に観られるのは短い時間ですが、気に入ったら後でまとめてサイトで観る事も可能になる予定だそうです。「携帯からネットへDVDへ、映画館へ行かなくてもこういう形でも映画は観られる。役者さんからミュージシャンからお笑いの方まで色々な方が出ているので、何か怪しい事をやっているなと、気軽に感じてもらえればいいなと思います」。
その中のひとつが、作家、脚本家、プロデューサーと活躍する梶研吾監督の「アカツキ」。盗まれた天才作曲家月光のCDをめぐってシブヤを駆け抜けるスタイリッシュな作品。テレビドラマ「エコエコアザラク」「ウルトラマンコスモス」脚本や映画「うずまき」「PUPS」「修羅雪姫」のプロデュサーである彼がどんな世界をケータイの中で展開してくれるのか、どういう人が出演し、彼等はケータイシネマをどう感じているのか。アフレコ現場にお邪魔して、お話を伺って来ました。
黒川芽以さん(醍葉赤月役)
–赤月という役についてはいかがでしたか。
いつも役を思い切り作り込むという方ではないのですが、今回は不思議な役で、霊視聴覚を使えるし眼鏡も掛けているし、今までにない役が出来たと思います。
–ケータイシネマという形式については、どう感じましたか。
楽しみです。この企画をやる事自体も初めてだし、それに出られた事がうれしいです。役的にも初めてな役だったし、新しい体験が沢山出来ました。
–自然体の演技という事ですが、普段の芽以さんは?
明るくて普通です(笑)趣味はバスケットボールです。ピアノもやっています。
–女優さんになられたきっかけは?
女優を目指していたわけではなくて、子供の頃に人がテレビという箱の中に入ってやっているのかと思って、お母さんに「テレビの中に入りたい」と言ったら事務所に入れてくれて、ここまで来ちゃったんです。レッスンは特に通った事はなくて、仕事がそのまま練習になったというか。今やっているのが楽しくて、ずっと続けていきたいなと思います。
–梶研吾監督の印象はいかがでしたか?
やさしい方でした。役については自然体でいいと言われて。
–作品を観る方に一言お願いします
あまり今までにない作品で、短い中に沢山の要素が入っているので、始めは解りにくいかもしれませんが、何度も観て楽しんでもらえたらいいなと思います。
松田悟志さん(醍葉月光役)
–赤月の兄で天才作曲家という役ですが、いかがでしたか。
難しいと思いました。まずショートムービーというカテゴリーの作品が初めてでした。短い中で見せなきゃいけないという、それが難しくて。同時に設定も少し筒井康隆さんの「七瀬シリーズ」みたいな要素も盛り込まれていて、それを平然と語らなければならないという。今レギュラーでやっている仕事(「仮面ライダー龍騎」秋山蓮役)とのギャップもあって、ギャップを脱ぐ作業が僕自身の希望でもあり、課題でもありました。難しい事だなと思いました。
–その作業で一番苦労した点はどこでしょうか。
自分の中で、二枚目三枚目の崩し具合が難しかったですね。まず天才作曲家であるというのがあって、作曲以外の事は何も知らない子供みたいなキャラクター、そのかわり穢れを知らない。穢れを知らない人というのはどういう動きをするのか、どういう話し方をするのか。だから人に聞かれたら恥ずかしいような話し方をしたんですよね、無防備な。
–ケータイシネマについては、どうお感じですか。
普通の映画と全然区別はしていないですね。
–ギャップを脱ぐのが課題という事ですが、今後も色々な役に挑戦していきますか。
やらせていただけるなら何でも。ジャンルは問わないですね。アクションもしたいし、ラブストーリーでも時代劇でも挑戦出来る機会があれば何でもやりたいですね。今年1年は「仮面ライダー龍騎」で強烈な役をやっているので、それと全然違う役をやりたいですね。1年もやっていると身体に染み付きそうなんですよね。へんな話、家に帰ってからも抜けていない時もあるんです。
–ヒーローを演じる事へのこだわりはありますか?
僕は無関心派ですね。俳優としての仕事のひとつという事しか考えていないですね。子供が撮影を見に来ていても煙草も吸うし。
–作品を観る方に一言お願いします
短い時間の中でこういうストーリーが出来るんだぞと。そういう作品を皆さんが携帯やパソコンなどの身近なもので観られる時代が来たんだと思うし、その時代の先駆けとなる作品に関われたのがうれしいです。
中本奈奈さん(如月亜理紗役)
–天才作曲家月光のマネージャーの亜理紗ですが、理知的でクールな印象ですね。
監督には「『マトリックス』の女をやれ」と言われました。クールで格好いい。今回は漫画っぽく撮りたいという事だったので、本当に解り易く無駄な事は省いてやる事を心がけました。ずっとやりたかった感じの役で、楽しかったのですが、すぐ終わってしまいました。もっとやらせて欲しかったです。
–撮影の現場はいかがでしたか。
監督が優しい柔らかい方なので、現場もそういう雰囲気でした。皆和やかにやっているという感じでした。
–最初、脚本を読まれた時の印象はいかがでしたか。
訳がわかりませんでしたね。たぶん、絵になった方が解り易いんだろうなと思いました。
–ケータイシネマについては、どうお感じですか。
凄いですよね。ここまで来たかという感じです。携帯は使ってますが写真とか撮れるのではないし、ムービーも観られないのでこれを機会に替えようかな。
–作品を観る方に一言お願いします
新しいメディアで新鮮だと思うので、どんどん観て欲しいです。初アクション、初蹴りがあったので注目!緊張したんですけれど、受けてくれる人が良かったのでうまくいきました。
梶研吾監督
–ケータイシネマという事についてはいかがですか。
15秒で12回、ネットで10分弱。携帯の方はある意味予告編的な感じかもしれないです。期待を持たせながら、連載漫画のように、連続ドラマのように。それで興味を持ってもらったら、まとめてネットの方で観てもらうという。まず興味を持ってもらわないとまずいですね。
–久しぶりの監督作品ですね。
監督という立場にはこだわりはないんです。気負いも何もなく。クレジットで言うと「脚本・監督」ですね。今回は4人の監督さんが全然違うカラーで撮るという事で、僕のパートの部分は「美男美女、漫画チックに」という担当だったんです。
–美男美女ですか。そうするとキャスティングも考える部分が出てきますね。
芽以ちゃんは昔から知っていて、いつか起用したいと思っていました。今回は皆そうです。芽以ちゃんは「ロボタック」、松田君は「仮面ライダー龍騎」、市瀬秀和君が「ウルトラマンコスモス」、奈奈ちゃんが「時をかける少女」がデビューです。永澤さんは飲み友達です(笑)今回永澤さんには助けてもらいました。現場で、俺みたいな素人監督が慌てている中で、まるで助監督さんのように皆の気持ちをリラックスさせてくれて。
–撮影は慌しかったそうですね。
時間のない中、そういう意味ではスタッフ優秀、出て下さってる方も優秀で。カメラマンの藤井さんも手馴れている方で、すべて助けていただいた感じですね。これで最悪だと言われたら、すべて私の責任です。
–携帯の画面が小さい事について何か工夫は。
それは他の監督さんも苦労されていると思うのですが。インパクトをいかに与えるか、引きの画面を多くすると小さくて何が何だかわからなくなってしまうし。そうするとアップが多くなる。アップなら格好良い人の方が良いというわけで、キャスティングが美男美女。
–音の方で工夫された点は。
セリフは短く少なくというのは計算の上です。だた携帯の画面で観た時の音とのシンクロというのは、実際に出来上がってみないと。
–画像や音のデータが大きいとパケット代がかかるという点が心配ですが。
そうですね、その中で観てもらうには映像に力が無くてはいけないし、出ている役者さんにも興味を持ってもらえないといけないし。初めての試みだけに出来上がってみないと不安というのはありますね。佐々木さんに恥をかかせないようにしないと(笑)
–赤月と月光という兄妹の名前ですが、何かエピソードがあるのですか。
単純に月が好きだというのと、神秘的な感じを出したいというのと、任せられたパートがやや漫画チックなパートなので、キャラクターも漫画的な名前にしました。ストーリーは複雑なものではなくて、お兄ちゃんの為に妹が頑張るという。
–作品を観る方に一言お願いします
いいスタッフといいキャストに助けていただいて出来たような作品です。画面の中で動いている役者さんはどの人も格好良くて可愛いと思うので、そのへんを観ていただいて楽しんでいただければ、何もいう事はございません。
□ケータイシネマ計画
シブヤマニアウエブ