ロングベストセラーコミックを原作とし、劇場版・TV版として製作されたアニメーションも幅広い層から支持された『ぼのぼの』がフルCG劇場用新作として帰ってきた。原作者のいがらしみきお先生が、ここ十年ほど常に考えてきた“思い出と記憶”というテーマの集大成的作品として映像化された『ぼのぼの クモモの木のこと』は、「普通のアニメではなく、CGだからこそ映像化してみたかった」とのいがらしさんの思いに、93年の劇場版アニメでも組んだクマガイコウキ監督が、見事に応えてみせた“癒し系”ムービー。酷暑が続く東京の夏に、安らぎに満ちた涼しい一時を過ごすに相応しい作品ということで、公開劇場である新宿武蔵野館では前売券発売枚数の新記録を樹立するなど、期待の高さは最高潮!8月10日の初日、そんな人気を反映して初回・2回とソールド・アウトが続く劇場には、この日のために仙台より上京された、いがらしみきお先生、クマガイコウキ監督がゲストとして来場し、舞台挨拶が行われた。お二人はそれぞれ、ぼのぼのくん、アライグマくんを伴って登場し、可愛いゲストに場内は暖かい笑顔に包まれる。また客席には、本作でぼのぼのの声を演じた、上村祐翔君の姿もみられた。

いがらしみきお先生(原作・監修)——公開初日ということで、来る前から色々緊張してましたけど、沢山の方がいらっしゃってくれて本当にほっとしました。映画を作るということは、旅に出るイメージがありまして、今回も誰も行かずできるだけ遠くへの旅に出て、帰ってくる感じで臨みました。作品は旅から戻ったお土産のようなもの、無事に皆さんに公開できることで肩の荷を下ろした思いです。

クマガイコウキ監督——既にご覧戴いた皆さんの前でご挨拶をするのは、ひじょうに怖いものがありますがお楽しみいただけましたでしょうか。悪戦苦闘しつつ2年ぐらいかけて作り上げました。万難を排して初日の1回目に駆けつけてくれる皆さんを、目標に製作した映画です。お知りあい等にご紹介いただければ幸いです。ありがとうございました。

 思わず手でふれてみたくなるような、毛がふさふさのキャラが全編で活躍する本作、「私がというより、CGスタッフに苦労をかけたようです」と斬新な映像表現がスタッフの努力の結晶だとクマガイ監督は語る。そうして完成した本作で、お二人が特に気に入っている場面はそれぞれ、「CGのぼのぼのがどうなるかにこそ興味があったので、オープニングで出てくるアップが一番思い入れがあります」(いがらし先生)、「ぼのぼのがコゲトリ虫を見て、自分が始めて星空を見た日を思い出すところが、ゴンチチの音楽もまたいいし、何回見ても泣けてしまう」(クマガイ監督)とのことなので、これから作品を見る方は、それらのシーンを要チェックだ!

なお、『ぼのぼの クモモの木のこと』は新宿武蔵野館にて、ロードショー公開中!。
(宮田晴夫)

□作品紹介
ぼのぼの クモモの木のこと

□公式頁
ぼのぼの クモモの木のこと