作品ごとにエロス、ホラーと全く異なる様相を見せてきた、時空を超え、覚醒するアウトサイダー時代劇<今昔伝奇>シリーズ。第3弾は、まさに王道ともいうべきチャンバラ・アクションの新たな時空に真っ向から挑んだ『剣地獄』だ。果てしなく続く激闘の末迎える結末は、誇り高き栄誉かそれとも…?
 7月27日に迎えた“ガリンペイロ”レイト第3弾初日は、シリーズ3作のオープニング&エンディングのあやかしの琵琶法師(監督も)奥田瑛二氏の琵琶指導も担当した後藤幸浩さんによる琵琶ライヴで幕を開け、続いて本シリーズの企画プロデューサーも務めた佐藤敏宏監督をはじめ、主要キャストの3人と全3作の音楽を担当したトルステン・ラッシュさんらが来場し、作品への熱い思いのこもったコメントを語った。

須藤雅宏さん(敵役)——今時代劇は京都が中心で、東京ではNHKが撮っているくらい。そんな中、東京で時代劇が撮れたことが非常に嬉しいし、映像の世界で手に汗握るようなチャンバラを、ある程度やれたのではないかと思う。役者は様々な役を演りますが、時代劇は特に普通にない世界へ入っていけるので楽しい。是非、手に汗握って観ていただきたいと思います。

宮村優子さん(女役)——一足先に作品は観させていただきましたが、TVでは出来ないような迫力があるチャンバラがいっぱいあります。私自身はアクションが無くて少し残念なんですけど、本当にカッコイイ映画ですので、皆さんも一緒に闘っているつもりで観てください。私も、次はアクションに挑戦したいです。

永澤俊矢さん(男役)——自分はチャンバラをやってそうに見えますが、あまりしたことが無かったんですが、居合抜きとか剣もすごく練習されている須藤さんや佐藤監督など自分に絡んでくださった方々が色々と上手かったので、非常に助かりました。撮影も少し過ぎて監督に、「なんとなく絵になってきたな」と言われてから自分の中でふっきれたような気がしました。TVとかの時代劇とは全く違うものが出来たと言うことは、自負しています。それで…人はそんなに簡単には死にません、と言う事です(笑)。

佐藤敏宏監督——亡き黒沢明監督は、時代劇にごろっとした俳優さんを望み、三船敏郎さんとのコンビができたわけですが、僕もキャスティング・ディレクターがノイローゼ気味になるくらいごろっとした俳優をと命じたんですが、永澤さんが出ていただけることになった時、これはいける!と思いましたね。ごろっとした俳優さんで、巨体が雨の中で血に染まっていくのが綺麗だとか思ったりして、大変面白かったです。
須藤さんの居合に関しては知らなかったのですが、現場で見せてもらったら、もうこれでいこうと絵コンテも台本も変えて撮影をしました。二人の雨の中の決闘シーンは圧巻です。
宮村さんですが、僕もいい年して『エヴァンゲリオン』のファンでして(笑)、彼女は現場で紅一点でしたので、撮影時にはスタッフが皆集まってきて、「こんなに沢山スタッフいたのか」ってくらいでしたね。映画を観てもらえばわかりますが、仇討ちの話がありますので続編があれば、雨の中で激闘して血だらけになってもらうということで、宜しくお願いします。
楽しくも大変な現場ですが、作品には非常に満足しています。

トルステン・ラッシュさん(音楽)——日本語で、間違えてたらすいません。3本の作品は1本ずつが全然違い、チャレンジでしたね。今回のチャンバラで感じたのは、古い日本の時代劇への回帰で、僕も音楽でそうい部分を捕まえたかったんです。それと、この作品は、最初の30分はほとんど台詞が無く音楽に任せてくれた感じで、そこも面白かったです。

なお、『<今昔伝奇>剣地獄』はテアトル池袋にて、8月2日までレイト・ロードショー公開中!。
(宮田晴夫)

□作品紹介
<今昔伝奇>剣地獄