パルコを舞台に展開する、可笑しくて奇妙、そして感動もしちゃったりと様々ななテイストの5短編からなるオムニバス作品『パルコ フィクション』が、7月20日レイトロードショー初日を迎え、上映前には両監督とメイン・キャスト総勢9名が来場し、舞台挨拶が行われた。矢口史靖監督と鈴木卓爾監督が、自主ベースで製作してきた『ワンピース』をスタートとする本作、出演者陣も『ワンピース』でいい顔を見せてきた盟友ともいうべき面々を中心に、多彩な顔ぶれが揃っている。舞台挨拶中は、そんなフレンドリーな空気が満ち満ち、また作品同様独特の味を見せるキャスト陣が醸し出すムードに、会場からの笑いが絶えない舞台挨拶となった。それぞれのコメントを、紹介しよう。

田中要次さん(パルコ役員役)——なかなか緊張解けませんね。横浜では花火大会、TVでは「物まね王座決定戦」、隣の劇場では『ピンポン』が公開になって超満員だと聞きましたが、それでも皆さんがこんなに集まっていただいてありがとうございます。ほぼ満席で、嬉しかったなぁ。よかった(笑)。完成した作品は、自信を持ってお贈りしたいと思いますので、楽しみにしてください。

真野きりなさん(花子役)——もうホント緊張しちゃって倒れそうで座って挨拶したいくらいなんですけど、すごい楽しいオチがいっぱいあるんで、みんな、笑って、ちょんまげ…てまたやっちゃった(苦笑)。私は結構挙動不審だったりするところがあるんですけど、監督達は優しいんで感謝してます。

近藤公園さん(東大男役)——『ウォーターボーイズ』の時に何回か舞台挨拶をさせてもらいましたが、随分時間が経っちゃったんで全然駄目ですね…。う〜ん、そう明日フットサルの大会に出るので、今日は舞浜まで行って練習してきました。天気がよく気持ちよかったんで、皆さんもいかがですか。今回の撮影は、どちらかというと『ワンピース』よりというか、時間的にはあまり余裕がなかったと聞いてますが、やはりのびのびとした感じでしたね。

村上東奈さん(木下イズミ役)——この映画は、見なきゃわからない魅力というか面白さがあるので、皆さんに最後までちゃんと見てもらいたいと思います。最後まで見なきゃ、駄目なんですよ(笑)。面白いので、見てください。「さわやか3組」の時は3・4年生くらいのときだったので、わけのわからなまま楽しんでやってたんですけど、今回のは難しく不思議な感じでどう演じるのかなと思ったんですけど、鈴木監督が教えてくれたのでよくわかりました。今は中一です。

猫田直さん(鈴子役)——私も舞台挨拶とかはじめてなので、何を言っていいのかわかりませんが、面白い映画になっていると思いますので1時間ほど眠らずに見てください。矢口監督は、私から見てあまり変わらないですね。現場の雰囲気もそうで、演り易いというか身を預けられる感じで、今回もできました。

唯野未歩子さん(山谷美都子役)——楽しいと思いますのでよろしくおねがいします。鈴木監督は、現場でダジャレが満開でしたね。

荒川良々さん(大須観三役)——こんな素晴らしい映画に出られて、監督に出会えて、本当にありがとうございました(笑)。

矢口史靖監督——この映画は、僕と鈴木監督が94年から自主制作している『ワンピース』という低予算の限りを尽くしたビデオ製作短編集に端を発し、生まれました。だから基本的には低予算で、僕らの中でやれることをやろうくらいの小さなスケールで始まったんですけど、気が付いてみると720Pというハイビジョン・カメラで撮影し、日本でも数少ないDLPで上映ということで、すごいハイテクと僕らの土着的でローテクなアイデアが渾然一体となって、ヘンテコな映画が出来上がりました。もしかしたら、これが日本の最先端の映画かも……どうかなぁ(笑)。技術は最先端、アイデアは二人の頭から絞り取ったもので、楽しんでいただけると思います。
見所は、短いからここで言ってしまうとあっという間に知れ渡ってしまうんで、言えません。65分と言う短い中に、5本も短編が入っているのですがあっという間に過ぎてしまうと思いますので、劇場用の長い映画とは違うビュッフェ形式で色々な味をつまみ食いするような楽しさを味わってもらえたらなと思いいます。

鈴木卓爾監督——今年に入ってから急に立ち上がったような企画で、すごく急いで走るように完成して、初日を迎えましたが、ある理想的な形で全てが出来上がってきた気がします。出て欲しい役者の皆に出てもらって、それぞれが際立った力と魅力を持った人達が、ものすごくいい顔で僕たちの奇天烈な映画の中で存在として輝いてくれて、僕たちもそれに答える話を作りました。
超高密度でハイクォリティで、物凄い手練れ達が作り、1度観ただけでは皆さんの脳みそに回収しきれないような魅力が満載されておりますので、今日見て面白かったらまた友達を誘って観に来てください。ひじょうにローカルな、ここシネクイントでしかやってませんので、新しい日本映画を楽しんでください。

なお、『パルコ・フィクション』は渋谷、シネクイントにてレイトロードショー公開中!。
(宮田晴夫)

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