SF小説の祖、H・G・ウェルズの原作が、装いも新たなヴィジュアル・エンターテイメント『タイムマシン』として再生され、今週末より待望のロードショー公開が始まる。本作で実写長編作品監督デビューを果たしたのが、サイモン・ウェルズ監督で、彼はSFの祖のウェルズの曾孫であり、またルーカス、スピルバーグ以降のSF映画の潮流と共に育ってきた、新世代クリエイターのホープである。
 7月16日の晩日本武道館にて、本作のジャパン・プレミアが、多数の著名人を含む8000人の観客の前で開催され、上映に先立ち公開キャンペーンで来日中のウェルズ監督による舞台挨拶が行われた。
 黒の正装で舞台に立ったウェルズ監督は、「コンバンワ、トキオ。私の曽祖父H・G・ウェルズは28歳のときに初めての小説を書いたんです。それは短い小説だったけれど、世間に受け入れられたいそう喜んだそうです。そして107年たって、彼の書いた小説の映画化を、今こうして地球の反対側で8000人の人が待っているというこの状況に、彼は大変驚くと思います。私は2年前にこの作品に関わることになり、今このようにして東京の有名な日本武道館に立っているという事実をとても嬉しく思っている。そして、丁度東京はお盆だそうですね。私は映画監督であり、映画館が私の家のようなものですので、ここに曽祖父の魂が訪れているような気がします。この映画をとても誇りに思っていますので、皆さんどうぞ最後まで楽しんでください。」と、晴れやかな表情で挨拶を行った。
 続いて、涼しげでシックな浴衣を身に付けたタレントの辺見えみりさんが、日本のファンを代表して、ウェルズ監督に花束を贈呈。「予備知識無く観たのですが、タイムマシンでこれだけ話が広がるなんて、予想以上に面白く、あっという間に観終わってしまった。映像も凄いし、かなり驚きました。」と作品の感想を述べる辺見さんに、ウェルズ監督は「とても嬉しいです」とにこやかに答えた。
 作品は、愛する者の死をきっかけに、そんな運命に立ち向かうべくタイム・トラベルを行い、80万年後の未来世界にまで旅する男のアドベンチャーを描いているが、距離では測れない究極の旅ともいうべき時間旅行が可能だったら、“いつ”に行ってみたいものだろう。因みに、辺見さんは「戦国時代や江戸時代、未来よりは過去の自分が知らない時代を見たい!」そうだ。またウェルズ監督は、「難しい質問だね。2年間かけてそれに答えを見出そうとしていたんだ。そう、是非曽祖父がこの原作を書いている時に逢ってみたいね」。そうしたことに思いを寄せる、実に楽しいきっかけともなる本作『タイムマシン』は、2002年7月20日(土)より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー公開!
(宮田晴夫)

□作品紹介
タイムマシン