二人のトミエの禁断ムードにリピーターも増殖中のシリーズ最新作『富江 最終章〜禁断の果実〜』。7月6日の夜には、シリーズ全4作品を一挙上映する特別オールナイトが開催され、多くの観客が劇場につめかけた。この日、一挙上映に加えての目玉は、本作で富江に扮した安藤希さんと、彼女の前作『さくや 妖怪伝』を監督した原口智生氏を迎えてのスペシャル・トークショー。お二人それぞれが関わった(…のだけど、当時現場ではお互いに全く接触が無かったそうだ)『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』や本作等の宣伝を担当した大映宣伝部の小林氏の進行で行われたトークショーは、ほわっとした“恐るべき”ぶりを発揮する希嬢と、普段は口数があまり多くないがこの日は希嬢のためならとしゃべりまくる原口監督が、噛合っているのかいないのかイマイチ判別不明だが(苦笑)、独特のまったり感を漂わせつつ、本作や『サクヤ』の頃のエピソードを披露された。
 本業ともいうべき特殊メイクの仕事が今年になってから既に24本、現在も8月下旬よりフジテレビにてオン・エア予定の『怪談百物語』など数本を並行して手がけている原口監督。今年は映画を見る暇も無い忙しさで、唯一見たのが本作だそうだ。その印象は、「作品を観て驚いた。中年のお父さんをたぶらかすような悪女的な役を、堂々と演じていてね。それと倒す側から倒される側になったこと。(『さくや』の後)希と山内秀一君は、自分の中で我が子のような錯覚があるんだけど、そんな彼女がひじょうに色気を感じさせ、危険な雰囲気もある。(瞳の)キラリも含めてなかなかのもの。」と絶賛。そう、希嬢と言えば、その強い目である。実際『さくや』製作時には、製作会社再度から既に名の知られた多くの女優が候補としてあげられながらも、どうしてもキャラのイメージとあわずオーディションを行うことになったそうだ。そしてオーディションの場に現れた希嬢は、「何があったんだか、ぶすっと不機嫌そう」だったそうである。「でも、その瞳に映画の中で映えるものを感じ、彼女にしたんですよ。だから試写が終わって、彼女の目がよかったという話を聞いたときにはやったと思いましたね。あの頃は撮影時に、わざと厭味を言って怒らせて、その表情を撮ったような部分もあったんですが、今回の映画では堂々と演技をして成長したなって感じです」(原口監督)。なお、気になる『さくや』の続編は、諸事情により早くて来年秋以降と未だしばらく先のことになりそうだが、映画版PART2とは異なるオリジナル小説が今年の暮れから来年の頭くらいの時期に文藝春秋社より刊行予定とのこと。ファンは要チェックだ。
 希嬢からも『さくや』に続き撮影現場は「寒い!」という思いを強めてくれた本作の現場での経験や特殊メイクについて、中原監督、原口監督の印象なども語られたが、心地よいまったり感が再現しづらいのでここでは省略。今後演りたい役について訊ねられた希嬢は、「色々と勉強していきたいので、様々な役に挑戦してみたいと思ってますけど…とりあえず、短大を卒業したいですね。卒論のテーマは、与謝野晶子の『乱れ髪』なんですけど、だんだん時間が無くなってきて大変なんですよ。未だ読んでいないし…」と見事な“恐るべし”ぶりで、場をさらったのだった。

なお、富江 最終章〜禁断の果実〜』は銀座シネパトスにて、ロードショー公開中!なお、東京公開中に一番多く劇場に足を運んだ方3名に、上映最終週のイベントで安藤希さんからスペシャルプレゼントが贈られるリピーター・キャンペーンも実施中だ。
(宮田晴夫)

□作品紹介
『富江 最終章〜禁断の果実〜』

□「ホラー談義 ワシズのいけにえ」
『さくや』の安藤希と『害虫』の宮崎あおいが演じる新たなトミエ。それは、『富江 最終章〜禁断の果実〜』

□トピックス
完成披露試写会レポート

□スーパーレポート
『富江 最終章〜禁断の果実〜』前売り&イベント情報
初日舞台挨拶レポート
伊藤潤二氏トークショーレポート