作品選考ディレクターの小泉幸子さんがまず舞台に登場。
今回上映されることになった6本の短編を選ぶまでの経緯を語ってくれた。
なんといっても80本の短編作品の中から、わずか3分〜10分という時間で才能を判断しなければならないことの難しさについて触れ、その上で残った今回の6本の作品を見て、各自のグランプリを見つけて欲しいということを語った。
次に、「パンフレットでは『クイン・スクエア』となっていたが、これは『スクエア・クイン』というタイトルです」ということで現れたのがファブリス・ルアン=ヴィジャ監督。彼にとっては監督第一作。子供の世界を描きながら、さらに普遍的なテーマを加えたアニメーションのこの作品。「忍耐と寛容」をユーモアとやさしさを含めて作り上げたそうだ。『スカッシュ』のリオネル・バイユー監督と『銅の舌』のフランソワ・ラルーディエプロデューサーは「まず作品を見てください」とコメントし、『ランジェリー』のエマニュエル・アニェレプロデューサーは「ケレン・イェダヤ監督は長編に挑戦するので、次回はこの作品で皆さんにお会いできることを楽しみにしています。」と挨拶をした。
近年注目を集めるショートフィルム。今回の上映では、フランスで注目を集める監督達の最新作を楽しむことができた。
本編終了後に行われたティーチインでは短編映画の興奮冷めやらぬ観客からたくさんの質問がよせられた。高いテンションを維持した『スカッシュ』の撮影はどのように行われたのかという質問では、「セリフを覚えてリハーサルするのと同じようにふりつけを覚えてリハーサルに望んだ。だが、俳優があそこまでやってくれるとは思わなかった。1台のカメラで撮影したが連続性のある素晴らしい仕上がりにすることができた。」と監督のリオネル・バイユーはうれしそうに答えた。『銅の舌』ではタイトルの由来について質問が寄せれた。「木でできた舌」(杓子定規な態度をさす)という表現がフランスではあり、劇中でミュージカルの代わりにオーケストラを使っていることにからめたダジャレということ。監督のアイディアだ。『スクエア・クィーン』では日本のアニメーションについて話が及び、フランスではまだアニメは子供向けという認識が強く、宮崎監督のような大人も楽しめるアニメがあることは素晴らしいとファブリス・ルアン=ヴィジャ監督。『ランジェリー』では試着室で鏡にカメラが写っていないのはなぜか、という質問が。即興ではなく、綿密な計算をした上で細かくカット割りをした撮り方で今回の映像を実現したそうだ。(Mika Saiga)