ザブー・ブライトマンにとって初監督となるこの作品を手掛けるきっかけになったのは、なんと4年前のこの映画祭。その時書いた最初の10行がこの映画の出発点だった。そして彼女の父親が脚本を担当して出来上がったのが『記憶の森』だ。音楽やリズムが効果的な演出であったというコメントには、ラブシーンで流れた音楽は父からはじめてもらったレコードにあった曲を使用したということで、父親ジャン=クロード・ドレとの仲のよい親子関係がうかがわれた。ジャン=クロード・ドレは「父からみた娘の作品の感想は?」と聞かれると「ラストシーンでは何度も泣いた。悲しい映画ではなく、感動的な映画だった」と答えている。フィリップ役を演じたベルナール・カンパンは、「この作品の役作りで苦労した点は?」と尋ねられると、「初めて悲劇を扱った作品だったので、まず自信を持つようにした」と語った。また作品中ではワインを飲むシーンが何度も登場し、実際に飲みながらの撮影ではワインの味をじっくり堪能できたようだ。最後に残る記憶は、「人間を結びつける愛の記憶だと思う」というザブー・ブライトマン渾身の一作であった。(Mika Saiga)

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フランス映画際横浜2002