00年の12月の劇場公開から早くも1年半が経過しても、未だに高い人気と支持を得つづけている『バトル・ロワイアル』。昨年6月(セル版は9月)にリリースされた初公開版ソフトは、“DVD&ビデオデータ大賞2001年邦画賞”“ビデオ・オブ・ザ・イヤー2001邦画部門”を受賞し、現在もレンタルソフト・トップ10圏内に位置し続けている。劇場公開から4ヵ月後に新たな場面を新撮・再編集した『〜特別篇』が、新たに中学を卒業した同世代の少年・少女(R-15指定だったのだ)を含む映画ファンに向けて公開されたが、こちらも今年の2月のレンタル開始以来、初公開版を上回るかのような熱狂的な支持を受けてきたが、待望のセル版が、東映ビデオより5月21日に発売され、特にDVDは、1時間を越える映像特典を収録したマスト・アイテムとなっている。
 この『バトル・ロワイアル 特別版』DVD発売記念フェアを開催していたHMV渋谷店では、フェアのファイナル・スペシャル・イベントとして6月1日に6Fイベントスペースにて、深作欣ニ監督と川田章吾役で強烈な印象を残した山本太郎さんを迎えてのトークショーが開催された。お二人は、桐山和雄を演じた安藤政信さんなどといった面子を含め、飲んだり食べたりは勿論、温泉に出かけたりと一緒に遊びに行くこともしばしばという仲のよさだ。
 息の長いヒット作になった本作について、「どうやら所定の目的を果たすことができた」(深作監督)、「色々な意見もありましたが、これだけ支持され続けたのは、作品の本当の意味が伝わったからだと思います」(山本さん)と、ファンへのお礼のこもった言葉からトークはスタート。山本さんの「色々」は、公開時にマスコミを賑わした報道で皆さんご存知のことだと思うが、中学生が殺しあうというショッキングな内容の本作に取り組むことになった時、お二人はどのようなことを考えられたのだろう?
 「太平洋戦争があり僕が工場に働きに駆り出されたのが中三の時、毎日空襲があって死体の片付けとかもやらされて、人が死ぬということが大変なことであると体験した。だから、本屋で帯に中学生40人皆殺しなんて書いてあると、血が騒ぐ(笑)。それが、初めだね」とご自身の死生観と通じる出来事を語る深作監督。一方山本さんは、「役というより深作さんが映画を撮る、オーディションがあるということで、一緒にやれれば勿論嬉しいけど、伝説の人にお会いできるだけでもいいとオーディションに行きました。そしたらすごくいい感じで。結果が出るまで2週間くらいかかったんですが、その間深作監督は僕を採用するよう製作委員会と戦っていてくれたんです」。山本さんの撮影時の実年齢は25歳。中学生が主人公のドラマということで、製作上層部からは危惧する声もあったそうだが、心中の覚悟もあるとの深作監督の強い意気込みで、山本さんの起用となったそうだ。「キャスティングはバランス、皆が同じじゃ面白くないでしょう。15・16が中心で、見えないかもしれないけど、こういうのが混ざっててもいいだろうと(笑)。だから山本君にも、お前はお前のキャラクターを活かしてくれればいいと。お客さんが、15であることを思い出すようではそれは監督の責任で、気ずかれないように駆け抜ける映画じゃないとね。今回はロートルの彼らが先頭を切ってくれましたよ」(深作監督)。その一方で、“深作組=深夜作業組”と言われた「朝から朝まで」の撮影現場で、一番元気だったのは深作監督その人だったとの山本さんの発言も。このあたりの現場の様子は、『バトル・ロワイアル 特別版』DVDの映像特典でもたっぷり見れるということなので、是非ともソフトで確認しよう。
 なお、一部で囁かれる本作の続編についての話だが、具体的な話はなかったものの「若い子たちとの付き合いはほぼ初めてという感じで感動した。また彼らとやりたいと思っている。未だその機会は結びませんけど、単にPART2というわけにはいかないが、若者が精一杯駆け抜ける映画を今年の終わりくらいにはクランク・インできる体勢にしたい」(深作監督)との嬉しい発言も。山本さんも、「だったら年末から向こう3年間はスケジュールを開けて待ってます」と、新たな作品への期待をアピールした。

なお、『バトルロワイヤル特別篇』は東映ビデオよりDVD発売中!
(宮田晴夫)

□作品紹介
バトルロワイヤル特別篇