韓国映画の最新作を中心に5夜連続で試写上映する韓国映画特別週間が、韓国大使館韓国文化院23周年記念行事として国際交流基金フォーラムにて開催中。5月21日にはその最初の作品として、ラブ・ストーリーの名手であるハン・ジスン監督の『エンジェル・スノー』が上映され、来日を果たしたハン・ジスン監督による舞台挨拶&ティーチ・インが開催された。
 上映に先立ち、主催者を代表し韓国大使館韓国文化院キム・ジョブン院長がお礼の言葉とともに、「韓日交流で一番成果をみせているのは映画。日本での『シュリ』『JSA』、韓国での『LOVE LETTER』などは両国間の交流の成功例です。これからもより一層多くの映画が、韓国と日本で公開・紹介される雰囲気を作っていきたい」と語った。
 続いて上映作品の監督であるハン・ジスン監督が「みなさん、こんにちは。いろいろたりない部分もあると思いますが、皆さんにとって楽しいひと時になればいいと思います。ありがとうございました。」と挨拶。この後ジスン監督は、客席で一緒に作品を鑑賞、上映後には作品に涙した多くの観客とのティーチ・インが行われた。

Q.夫婦役のお二人のキャスティングは、どのように決めたのですか。また、音楽が素敵でしたが、どのようにしてこのような曲になったのですか?
——主人公の二人に関しては、既にキャスティングが決まっておりました。実際私が作品を引き受けた大きな理由の一つは、ヒロインがコ・ソヨンさんだったからなんです。彼女は自己主張がはっきりした、新しいタイプの女優です。どんな彼女をメロドラマに使ってみたかったんです。また、彼女もそんな期待に充分応えてくれました。
音楽はチョ・ヨンウクさんという、韓国映画の音楽監督の第一人者です。ラブ・ストーリーにあった音楽をお願いして、シナリオ段階から二人で様々な修正を経て、この形になりました。

Q.この映画は赤ちゃん間の臓器移植が出てきますが、日本では子供の臓器移植は禁止されています。実際の所は、韓国では子供の臓器移植が行われているのでしょうか?
——臓器移植に関しましては、韓国でも決して自由な雰囲気ではありません。それに関しては、映画表現の一つだと思っていただければと思います。私が描きたかったことは、不幸な中でも犠牲を通して新たな希望を見出す母性愛を描きたかったんです。そして私の願いとしては、二人の今後は赤ちゃんがいなかった頃に比べれば、いくらかは幸せな生活がおくれるのでは…と言う事です。

Q.今回の映画で力を入れた場面はどこですか?
——特に思いをこめたのは、最後の病院の保育器の中に赤ちゃんがいる場面です。そこは思い入れが強く好きな場面でありますが、同時に未練が残る場面でした。スケジュールやセットという制約がありましたので、もう一度同じ場面を撮らせてもらえれば、さらによくできるのにという未練もあります。

Q.雪が大変重要なモチーフになっていると思いますが、それについてお聞かせください。
——雪は最後の部分で、主人公の女性に対しての子供の声を象徴したものです。そして、劇中韓国の有名な詩人の詩を伏線として用いました。そのようなメッセージがないと、観終えた方の気持ちが回復するまで時間がかかってしまうと思い雪を使いました。

Q.今後の予定をご紹介ください。
——新しい作品の準備をしているところです。これまでラブ・ストーリーばかりを撮ってきましたので、次は違うタイプの作品を作る予定で、様々な素材にあたっているところです。
最後にご挨拶させてください。長い時間、本当にありがとうございました。ストレスを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。私はこの映画をハッピー・エンドにしたつもりです。今後、この作品が皆さんの心の片隅に残る作品になれば幸いです。

なお、『エンジェル・スノー』は新宿武蔵野館他にて、2002年6月1日より全国順次ロードショー!。また、当サイトでは近々ハン・ジスン監督のインタビューも掲載予定。ご期待ください。
(宮田晴夫)

□作品紹介
エンジェル・スノー