デビュー作『タイムレスメロディ』(99)は釜山国際映画祭において日本映画として初のグランプリ作品となりセンセーショナルなデビューを飾った奥原浩志監督。その第2作目は、独特の映像にまたもや新しい風をもたらした新作『波』は、今年のロッテルダム国際映画祭・最優秀アジア映画賞(NETPAC AWARD)受賞し、2作連続海外映画祭で高い評価を得た。
日本での公開は、昨年の夏から1年、劇場をテアトル新宿に移し2週間限定の凱旋レイトショーが決定し、初日、監督以下主演の俳優が集まった。
舞台挨拶にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
奥原浩志監督−−−−−−−−
去年公開したときの3日分くらいのお客さんが集まったという感じでとても嬉しく思っています。『波』は、今年の2月にロッテルダム映画祭に出品しまして、賞を頂きました。そのお陰でテアトルさんで再上映することができました。ロッテルダムでは、とくにすることもなく毎日お酒を飲んでいたため十二指腸かいようになってしまいました。
タツ役・大森立嗣−−−−−−−−
監督と一緒にロッテルダムまで付いていって、別にいいことはなかったのですが、みんなで行くときに賞を取ってこようと行ったので、帰国してから受賞の話を聞いてあまり驚きはしませんでした。これからゆっくりと楽しんで見てください。
ミカ役・紺野千春−−−−−−−−
『波』の撮影からかれこれ2年くらい経っており、西伊豆の田子という場所は、とてもいい所なので温かくなってきたので、ドライブがてら行ってみてください。
ケンサク役・乾朔太郎−−−−−−−−
撮影が2年前でその面影が今は無いのですが、映画をみていると髪の毛が短くって感じの悪いのは僕なのでよろしく見てください。
ユカ役・小林麻子−−−−−−−−
今は、日焼けした感じで映画の中の私とはちょっと変わってしまったのですが、でもなんか嬉しいですね。2年後にこんな場所で上映できると。今、下北沢のスズナリで舞台に出演中です。
奥原浩志監督ミニインタビュー・・・・・・・・・
−−−−−『波』の製作意図は?
今回は、なんの勢いもなく西伊豆の田子という場所に出会えて映画を撮りたいという気持ちになって2ヵ月後に撮影を始めたので、あまり考えずに始めてしまった作品なんです。
−−−−−キャストに関して?
主役の乾朔太郎、大森立嗣は、プロデューサーでもあり仲間なので、映画でも撮ってみようかと始めたので、そのままキャストに決めて、最初から決まっていたので、田子で撮影するということと、主役も男性2名が決まっていて、それから僕だけロケ場所である田子という町で脚本を執筆するための場所を借りまして始めたのですが、なかなか書けなくて、だらだたしている状態がそのまま映画に反映されたような感じですね。
このような過程で映画を撮ることはなかなか無いですね。脚本を書いているときの思いと撮影するときの思いは、間が開いてしまうと感覚を忘れてしまうことが多いのですが、今回は、書いているときの思いがそのまま撮影に入れたのでこの映画の成功した理由ではないかと感じますね。
−−−−−製作する上で悩んだり、衝突したりしませんか?
僕の場合は、人のいうことをあまり聞かないので自分の思うようにやりたいし、周りのスタッフやキャストはみんな知っている人ばかりで僕が何をやりたいかわかっているので、どう演出しようともあまり面食らうことは無かったですね。内容に関して、もしかすると皆、興味をもっていなかったかもしれませんね。(笑)
−−−−−今後の予定は?
具体的なものは、何も無いのですが完成してから1年経ってしまったので、撮影したくってしょうがないので近いうちに始動しようかなと思っています。
私の知っている範囲での若い映画監督の中では、ちょっとタイプの異なった奥原浩志監督。若い監督が海外の映画祭で注目を集めている中で次回作にも期待したい。
凱旋レイトショーは、テアトル新宿で5月31日(金)まで公開しています。(※5月20日(月)のみ休映)
5月25日(土)夜9:20からは、同じロッテルダム国際映画祭にて、タイガーアワードと国際批評家連盟賞を受賞した『まぶだち』の古厩智之監督をゲストに迎えてのトークショーが行われます。

□作品紹介