第12回三島賞受賞作品した鈴木清剛さんの原作「ロックンロールミシン」をもとに『贅沢な骨』『GO』などを監督した行定勲が脚本、監督した最新作。
昨年『GO』で話題をさらった行定勲監督は、マスコミ向けの初の試写会とあって、マスコミの印象が気になり笑ってもらえるかと心配だったようです。
上映終了後の舞台挨拶でのコメントをご紹介します。

−−−−この原作にあわれたきっかけは?
4年ぐらい前のみちのく国際ミステリー映画祭に『オープンハウス』という作品を出品していまして、そのときの旅の友としてこの原作を読んでいてすごく風通しのいい小説だなぁと思いました。学生時代にロックバンドをやっていた経緯があって兼ねてからロックバンド映画を撮りたくって、小説がロックバンドっぽいのに、ギターの代わりにミシン。映画化してみたいなぁと思っていて、それからずっと撮れなくって、撮れない理由は、ベストな俳優が自分の中で見つからなくって。自分の中では映画を撮影する場合キャスティングが80%くらいを占めるので、4年間かかってやっと撮れたという感じです。
−−−−原作をどのように映画にしたのでしょうか?
原作を読んでいる方なら分かると思うのですが、原作は彼らが再会し屋上からフリスビーを投げて屋上から落ちていくシーンで終わるのですが、そのシーンが彼らのこれからのもう一度がんばれるという生き方などを表していると思うのです。そのシーンも撮影したのですが、あえてこの作品ではカットしました。映画では必要ないと思ったんです。この作品には、その先の彼らにはいろいろあると思いまして、彼らのそれぞれの心の中に残るものが青春映画だと考え、あえて再会してフリスビーを屋上から投げるシーンをカットすることがこの映画なんだと考え、その部分をぼかしました。
−−−−映画では池内さんの背中の翼の刺青をみせて終わっているのですが、そのシーンは、彼らが飛翔というか飛び立つ、エールを贈っているいるように思えるのですが。
1年ぐらい専門学校の先生をしていたことがあって、学生に教えているころに脚本を執筆していたのですが、彼らは不安だとか時間が無いとか、バイトをしないと生活ができないとか逆ギレしてみたりして、若い彼らをみて「本当に映画を撮りたいのか?」と言ったこともあって、現場などに連れてきたりしてみたこともありましたが、結局辞めてしまうんです。自分の時代は、不安じゃなかったんです。この原作には、若者たちが失敗してゼロにしてしまう勇気が描かれていたように感じたので、彼らにゼロにしてしまう勇気が持てるか?という意味ですね。
−−−−キャストの加瀬亮くんについて(ここで、客席にいる加瀬くんを舞台に上げる)
行定監督・・・加瀬くんに出会えたのでこの作品が撮影できたようなもので、加瀬くんとは、『GO』のオーディションで23歳のときに高校生役で来ていまして、逢ったときに『ロックンロールミシン』の賢治だよと思いまして、プロデューサーに賢治が見つかったから確保しておいて次に撮ろうと思いました。自分の中で賢治が見つからなかったんです、自分の知っている役者の中で賢治を演じてもらうと皆、かっこよくなってしまうんですね。(加瀬くんを見ながら)かっこ悪いじゃないですか?(笑)私がかっこ悪いということがかっこいいと思っていたりするんで、だらしないとかが魅力的だったり。加瀬くんにやってもらってラッシュ見るたびにかっこ悪いですねぇという部分を追求してもらいました。
どうでした加瀬くん。
加瀬亮・・・見るたびに自分のだらしないところとか情けないところとかさらけ出させられて痛いですね。ほんとに監督の現場は楽しかったというかキャストも含めて和気あいあいだったので、あまり演技のこととか考えずにその場にいたら勝手に物事が回ってくれたというか、そのような環境の中でやれたのは楽しかったです。最後のシーンなどは、眠かったですねぇ。加瀬くんはもうろうとしていまして、寝ている彼を起して、加瀬くんやるよぉ・・・という感じで撮影していた。寝ないで3日間くらいやっていたんで。まぁ、いい思い出になると(笑い)
−−−−東南アジアの人たちが出演していましたが、原作にあったのでしょうか?
原作には、共有電話があるところまであるのですが、考えたのは、彼らが立ち上げたインディーズ・ブランドが無くなってしまったときに、それを思い出すきっかけが欲しかったです。そのときTVを見ていて不法滞在者の一斉検挙のニュースをあって、TVに映っている彼らが異様に明るいんですね。ニュース報道は、彼らはいったいどこにいくのだろうかと悲しいニュースなんですが、映っている彼らは、ピースとかしているんですね。(笑)そこに彼らにインディーズ・ブランドのTシャッツを着せてみたんです。ということを思っている反面、『GO』を監督していたので、いいのだろうかと思ったりして。
−−−−この前に『贅沢な骨』という『ひまわり』に繋がるオリジナルを撮ってたり、初めての原作『GO』を撮影して、ずーとその前からこの企画はあったのですが、『GO』などを撮影してこの作品の撮影でプラスになったことなどはありますか?
『贅沢な骨』や『ひまわり』などでは、自分のことを険わだてて語りかけるようなことはしていないのですが、人に伝えることが気恥ずかしいかったり思っているのですが、それはなぜかというと自分の体験からきているので、『GO』をやることになったときに、「おれはナニ人だぁ!」と叫ぶわけですよ。その瞬間世界観が変わってしまいましたね。
窪塚くんとこのシーン、どうやって撮るということを話し合ったときに、思いっきり叫んでみようかと決めて彼が叫んだ瞬間に変わりましたね。自分の怒りや苛立ちは言葉にしていいんだなぁと感じましたね。在日韓国人である彼が言えることであって、ぼくは凄くかっこいいことだと思いましたね。
その後にこの作品を撮ることになったときに、自分がジレンマになっていた在日韓国人の彼はかっこよく撮れたのに日本の青春像は相変わらずかっこ悪くって陰湿で、またこういう青春なのか?何か違い気がして、最後に池内くんに託したのは、何か違うんだよね、俺は。・・・・・・・。ちゃんと言葉で伝えるということが人には伝わらないんじゃないかと。日本人の青春映画をこの作品でやって在日韓国人の青春映画を『GO』でやって撮る順番が重要な気がして、自分ではポジティブだと思っているんですが、『GO』の前に撮っていたら違っていただろうなぁと思います。『GO』の後に撮ったのでポジティブになったと思います。その部分が自分の中では重要だったりします。

『GO』で話題をさらった行定監督の『ロックンロールミシン』は夏公開予定!

□作品紹介
ロックンロールミシン