『スピード』『マトリックス』のキアヌ・リーブス主演。ギャガ・ヒューマックス/松竹共同配給、2002年4月20日(土)より 丸の内ピカデリー2ほか、全国松竹系にてロードショーの映画『陽だまりのグラウンド』。そのプレミア試写会(読売新聞社主催)が、4月15日、東京・よみうりホールで行われた。

キアヌ・リーブス演じるコナーが、野球のコーチとして少年たちに野球を教えることを通じ、人生にとって大事な様々なこと逆に教わっていく感動の物語にちなみ、巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄氏が、スペシャルゲストで出席。上映前に、自分の野球経験を踏まえつつ映画の魅力を紹介した。

今回は、司会者の存在が薄らぐほど十数分の短い間のほとんどを使い、身振り手振りで熱く語った長嶋氏のコメントの一部を紹介する。

−−まず、挨拶をお願いします
長嶋茂雄
『フィールド・オブ・ドリームズ』など、野球をテーマにした名作映画は多くありますが、それらに勝るとも劣らない映画が、この『陽だまりのグラウンド』だと思います。

−−スランプの選手に、野球を教える秘策は何でしょうか?
長嶋
スランプに陥るのは、理想が高いからで、スランプはみんなあるものです(笑)。今の選手は、自分が若い頃と違うので、厳しくするだけではなく、愛情を注いで手を差し伸べてあげると、解決策を自分で見つけて上手く正規のレールに乗るものですよ。野球は失敗の繰り返しから上手くなっていくものですし、この映画でも、最初は野球が下手でも、最終的にはすばらしい人間愛が生まれていますね。

野球の基本にキャッチボールがありますが、これは野球だけでなく人生の全てだと思います。行き交うボールを通じて心と心を通わせ、そして信頼関係を築いていく…。今のお子さんたちはキャッチボールを嫌がる傾向があるので、僕は「キャッチボールをたくさんやりなさい」といつも言っているんですよ。そこからチームプレーも生まれてきますし。

−−長嶋さんの、野球におけるターニングポイントは何でしたか?
長嶋
甲子園の予選でのミスですね。その時はショートを守っていたんですけど、イージーミスでトンネルをして試合に負けてしまったんです。それで監督が「お前、ショート下手だから、サードをやれ」と(笑)。そのミスが原因で、チームのみんなに迷惑をかけたので、僕はもう一回生まれ変わった気持ちで、サードの練習を熱心にしました。

そこからバッティングも上向いて、守備でもそれまで取れなかった打球が取れるようになったりしました(笑)。あのときの一球が、ターニングポイントでしたね。かれこれ40年近く前の話ですが。

だからミスを恐れることなく、前向きに精進努力をすればいいんです。逆に、成功を重ねるよりも失敗を重ねてそこから学んでいって、次のステップに進むのがいい形だと思いますね。