同年代の若者を中心に圧倒的な支持を得た主演・脚本作『竜二』公開直後、33歳で死去した俳優・金子正次の鮮烈な姿を描き、現在ロードーショー公開中の『竜二 Foerver』。本作の公開記念スペシャル・イベントとして3月26日の最終回上映後、スペシャル・トークショーが開催された。
 連日好調な動員アベレージを記録する本作は、4・5回はあたりまえ、すでに10回近く劇場に足を運んだ猛者もいるなど、映画ファンの強い共感を集めている作品だが、この日の最終回は平日であることもなんのその、そうしたリピーターを多数含むファンが劇場につめかけ、劇場通路も立見のお客さんで溢れ返る大盛況。作品の上映が終わり、その余韻に浸るファンの前に、細野辰興監督、石原役の木下ほうかさん、羽黒役の高杉亘さんらが登場し、さらには当日参加の特別ゲストとして御本人曰く「今日は作品を観にきただけだから…(笑)」の金子正次役の高橋克典さんも参加と、本作の立役者が一同に会する形のまさにスペシャルなトークショーとなった。熱気溢れるファンとゲスト陣との間はまさに目前といった感じで、距離的にも感情的にも一体化した両者の雰囲気が実に居心地のよい空間だ。
 本作のロケは昨年6月から7月にかけての猛暑の中で行われ、劇中の冬の場面もすべては真夏に厚着をして撮影されたもの。ある時などは、外気温が37度あったのにも関わらず、密閉された室内での撮影は気温がなんと50度にも達し、外に出ると37度が涼しいなどという壮絶な時もあったとか。そんな雰囲気は微塵も感じられない冬の場面、これから作品を観る方、また再見する方は頭の隅においてみるとまた面白いかも。他にも、監督曰く「めったにみれない高橋」との高橋さんは、病を表現するために10Kgの減量をして役に臨んだことや、対する木下さんは逆に対比として太ろうとしたが「直前に痩せた役をやったところだったので間に合わなかった。太るのは難しいね(笑)」なんて作品の裏話がアット・ホームなのりの中で披露された。
 この日劇場サイドもファンの熱意に応える粋なはからいで、トーク・タイムが大幅に延長、会場とのティーチ・インも行われ、木下さんの演技プランや好みの女性といったことから、監督から出演者、また出演者から監督それぞれの感想などまでが語られた。
「作品を作ることは出会いであり、今回も木下君をのぞくと初めて仕事をする人が多かったが、自分が大事とする触発される部分の有無という点でも、毎日ときめいて仕事ができた」(細野監督)
「もの凄く映画を愛していて、自ら展開したWebなど、これだけパワーがある人との仕事は初めて」(高杉さん)
「監督との仕事は4本目ですが、無茶苦茶頑固な人ですね(笑)。スピードがあうんで、次もまた一緒にさせて欲しい」(木下さん)
「演出の波長があい、またそれを言葉にした時のイメージの感覚もほとんど一緒で楽しかったです」(高橋さん)
すでに一人歩きをはじめ、観てくれる方それぞれのものへとなった『竜二 Foerver』という作品。作る側、見る側それぞれの想いが感じられるトークショーだった。

なお、『竜二 Foerver』はシネ・アミューズにて、3月29日金曜までロードショー公開中!また、4月6日よりシネリーブル神戸、シネリーブル博多駅前、4月20日よろ名古屋シネマスコーレ、4月27日よりスガイシネプレックス札幌劇場と全国順次公開が決定している。

□作品紹介
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2306
(宮田晴夫)