スクリーンで初めて描かれる“女流棋士”姉妹をヒロインに、二人のプライドをかけた戦いと、それぞれの夫、恋人という二組のカップルが織り成す様々なドラマを、あたかも他人の生活の場に入りこんでしまったような自然な感じで描いた新しいタイプのラブ・ストーリー『とらばいゆ』の特別試写会が、3月12日TOKYO FM ホールにて開催された。
 特別試写会は、本作の主題歌を担当しているTicaのミニ・ライヴからスタート、ビートルズの“if i need someone”と本作のエンディングに流れる“in a cloud”の二曲が演奏され、ナチュラルでありなおかつムーディーな調べが会場に集まった映画ファンを魅了した。音楽担当の上田禎氏の推薦で本作に参加することになったというお二人は、これが初めての映画音楽。ことに、作品のムードにマッチし、映画を心地よく締めるエンディング曲は、出来上がったものを観て「泣きそうになった」(Vo.武田カオリさん)との言葉も納得の素敵な仕上がりだ。
 ミニ・ライヴに続いては、本作の大谷健太郎監督と“女流棋士”姉妹の妹の彼氏、弘樹を演じた村上淳さんが登場し舞台挨拶が行われた。
 「『アベックモンマリ』でデビューしてから3年目の新作で、前作同様日常よりもリアルな恋愛ものを目指しました。タイトルはフランス語で“職業”。ちょっと特殊な職業を題材にしてますが、恋愛か仕事かで悩んだことのある女性、仕事を頑張りたいと思っている女性には特に面白く観てもらえると思います」と挨拶した大谷監督、前作と同じく恋愛映画ではあるが、3年前とは監督自身プライベートで大きな変化があった。そう、結婚されたのだ。そのあたりと作品の関連はどうなのだろう?「デビュー作も夫婦の映画でしたけど想像で描いてました。今度は結婚してきたので、ディティールとかは生々しいかと思いますね」(大谷監督)。そしてそんなディティールを活かすため、俳優陣から自然でリアルなお芝居が出てくるように、撮影前には中心となる4人を集めリハーサルを行い、コミュニケーションを作っていったとのこと。そのナチュラルなドラマは、主人公が特殊な職業であったとしても、万人の共感を呼ぶことは間違いない。
 「このままスクリーンに入ったように本当に自然」と大谷監督も賞賛なのが、弘樹役の村上淳さん。「大谷監督の前作『アベックモンマリ』が大好きで、ピピッとアプローチしたら、丁度双方があった(笑)」と出演のきっかけを語った村上さんは、「素敵な演奏でいい雰囲気になったところで、野暮ったい二人が出てきてしまって…」と笑いを取りつつも、「でも『とらばいゆ』という映画は素敵な演奏に対抗できます」と自信の程をうかがわせた。

なお、『とらばいゆ』はテアトル新宿にて、3月23日よりロードショー公開!。その後全国順次公開予定。またテアトル新宿では3月16日〜22日の1週間、大谷監督の前作『アベックモンマリ』も限定ロードショーされる。

□作品紹介
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=1024
(宮田晴夫)