2000年秋の東京ファンタでの初上映以来、永らく一般公開が待たれていた台湾驚異のハイパーマリオネーション『聖石伝説』がついに3月16日、シネマスクエアとうきゅうで公開となる。公開を約2週間後に控えた2月27日、台湾から黄強華監督、その実弟で製作とオリジナルの声優を務める黄文擇、主題歌・音楽の伍佰(ウー・バイ)というメインスタッフ、そして原口まさあきら日本語吹替え版キャスト4名らが出席してのジャパンプレミアが開かれた。
『聖石伝説』は、台湾伝統芸能の人形劇“布袋戯(プータイシ)”にSFXを取り入れた手法で作られたテレビシリーズ“霹靂布袋戯(ピーリープータイシ)”の劇場版で、台湾公開時には『タイタニック』に匹敵する興行収入をあげている。
 ジャパンプレミアは、まずラジオドラマ版で音楽を担当したスパニッシュギターの和田周三による「つがるじょんばら節 スパニッシュ・ヴァージョン」、ラジオドラマ・サウンドトラックより「エスペロ」の演奏でスタート。
 演奏が終わると、黄強華監督以下8名のゲストが登場。黄強華監督と黄文擇、そして日本版で声優初挑戦の原口あきまさの手には、劇中で使われたメインの人形が。
「非善類という4役を任されまして、さんまさん風とか加藤さん風とかいろいろな声でやってます。すぐに気付くと思います。気付いたら笑ってやってください」
 と言う原口は、ときに残忍でときにコミカルなエイリアン役なのだが、なぜかその手にはエイリアンではなくヒロインの人形が……。今回、欠席したヒロイン役・さとう珠緒のボイスメッセージに合わせて人形を操り、会場を沸かす。
 そのほかのメインキャストには、三木眞一郎、子安武人、関智一という人気・実力ともに兼ね備えた3人が配役されている。人形劇の吹替えということで仕事を受けたという3人だが、「人形劇という括りには入らない素晴らしいもの」(三木)、「素晴らしい役をいただいて、僕の代表作になるのではないか」(子安)とかなりのショックを受けた様子で、関にいたっては「想像を180度がらっと覆される感動を覚えました。僕の中では、ジャッキー・チェンを超えましたね」と言うほど。
 それもそのはず、本作は、人形独特のしっとりとした質感のなかに息づく豊かな感情表現と、常識を超えたアグレッシブな躍動感で、中世中国の武術界を舞台に願いが叶うという聖石を巡る武術家たちの戦いをダイナミックに描いたものなのだ。
 音楽を担当した伍佰は、台湾のカリスマ的ロッカー。「この布袋戯の曲を作るにあたって、彼らを人間と思って詞を書きました。ここで繰り広げられる戦いにはいろいろ複雑な理由があります。水辺での戦いで悪魔のような存在が登場する場面があり、そこには冷たい風が吹いています。それがとても美しかった。そして、この曲ができました」と語り、ミニライブで主題歌「穏やかな風の中」など2曲で迫力のボーカルで会場を酔わせる。
「この映画は皆さんの鑑賞に堪え得る映画だと思います。ゆっくり味わってください。私たち台湾の者は、皆さんに親密感を持っています」と国際親善を訴える黄文擇。
 黄強華監督は「本作は、台湾のあらゆる文化の粋を集めて作った映画です。台湾の伝統的な道徳観、父と娘の関係、親孝行についてなどを織り込んでいます。ほかにもCGですとか、伍佰の歌、そして上海交響楽団も参加しました。あらゆる技術——ここにいる文擇のセリフまわしを含め、あらゆる台湾の粋が集まっています。この映画をご覧になって、台湾の文化により理解を深めていただき、ぜひお友達あるいはご家族に紹介していただけたらと思います。きっと見ていただける価値はある映画だと思います」とピーアールに務めていた。
(みくに杏子)

□公式サイト
http://emotion.bandai.co.jp (日本)
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