昨今のホラーコミック界をリードし続け、その映像化が待望されていた御茶漬海苔の『惨劇館』の人気シリーズ『夢子』が、『羊のうた』の公開も控え今最も注目を集める若手女優美波が初主演としてヒロイン夢子を演じる長編作品、『惨劇館 夢子』として完成した。2月の9日から決定した劇場公開を前に、1日この作品がマスコミに披露された。当日会場には御茶氏、美波さん、そして本作が商業作品デビュー作となる久保山務監督が来場し、舞台挨拶が行い、その表情からは作品への強い手応えと満足感がうかがわれた。
 本作で脚本も担当している久保山監督、「映画を作るのは本当に大変だと思ったのが現在の実感。ビデオのシステムを使い撮る映画としても、一つのルックが出来たと思う」と商業初長編作品を完成させるのに必要だった偽らざる苦労と、しかしそれに充分見合った作品を撮り上げた充足感が感じられた。
 映画には既に何本か出演しているものの、本作が事実上の初主演作品となった美波さん、「私は本当にホラーが苦手でしかも主演と言うことで、すごい緊張してしたのですが、周りの方々が非常にはげましになってくれて、いい映画が作れたと思います。やっぱり、驚かされるより驚かせる方がいいと思いました(笑)」と明るく挨拶。少なからずホラー・テイストを感じさせる出演作品が目に付くが、実はご本人はホラーは苦手。劇中、廃墟となった病院での撮影では、その暗がりの中に落ちていたオウムの指名手配写真の不気味さに本当に怯え、それがストレートに画面に出ているという。今回が初主演作になったわけだが、その気構えはどうだったのだろう。「責任感が凄く大きく重かったです。他の作品だと、どこかしら他に頼っちゃう部分がでてきちゃいましたから。でも、小沢(和義)さんや監督が密に接してくれて打ち解けてできましたね。最初は間違えちゃいけないと思ったりしたんですが、後になるとそんなことより大切なことがあるんだと思えて…」と、ミステリアスな要素をのぞかせつつ等身大のヒロイン役を演じての感想を、これまた自然体に語った。
 初監督、初主演と初めて続きの本作だが、待望の原作初映像化となった御茶氏、昨年ホラー映画の特集上映を監修するなど、筋金入りの恐怖映画好きであるだけに、喜びも一入の様子。「念願の『惨劇館』が映像化されたということで、本当に喜んでいます。美波さんは本当にイメージにぴったりで、監督のイメージするところもよく出ている。怖いスプラッター映画のようなテイストに出来上がっているので、是非楽しんでいただければと思います」と、完成作に作者として最高とも言えそうなお墨付きを口にし、実に満足げな表情だった。実際、作品は忌まわしいテイストをのぞかせつつも、夢子と竹中コンビの活躍は是非ともシリーズ化をして観続けていきたいと、ホラー・ファンならずとも思わせるものに仕上がっている。是非、続巻にも期待したいところだ。

 なお『惨劇館 夢子』は、2月9日(土)から22日(金)まで、吉祥寺バウスシアターにて連日20時50分より惨劇ナイト・ロードショー!また、9日(土)、10日(日)、16日(土)には、美波さん、久保山監督、御茶氏、他出演者による舞台挨拶・トークショーが予定され、スタッフ・キャストの生の声が聞ける絶好のチャンスなので、ファンの皆さんはお見逃しなきように!また、2月15日にビデオが、そし22日にはDVDがそれぞれリリースされるので、映画館に足を運べない方は、お茶の間で“惨劇”世界を堪能しよう。

□公式ホームページ
http://www.fullmedia.co.jp/yumeko

□作品紹介
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2808
(宮田晴夫)