テレビで放映されるやいなや“この番組を見なくては眠れない”という“バミリオン症候群”を生み出した460分のオムニバス映像 大作『バミリオン・プレジャー・ナイト』。音楽・ファッション・ブラックユーモア・アート満載の新しい形の映像作品である。
 そして今、この伝説の作品の映画版が登場する。題して『カラー・オブ・ライフ』。監督・脚本・撮影・音楽を手がけたのは現代アート界の異才・石橋義正だ。12月26日、渋谷・シネクイントで「石橋義正監督トークショーつき披露試写」が行われた。

−−『バミリオン・プレジャー・ナイト』を制作したきっかけは?
「いろんな形でのメディアに対応できるようなソフトコンテンツを作ろうという思いで始めたんです。そのために、いろんなタイプの短編映像をできるだけたくさん作っておきたかったんですね」(石橋・以下同)
−−オムニバスの中で、特に『フーコン・ファミリー』は海外の映画祭で非常に評判になったとか。海外での面白いエピソードがあったら教えてください。
「『フーコン・ファミリー』はマネキンが会話する家族の物語なんですが、日本語をしゃべっているので、英語圏で紹介した時にウケるのかどうか心配していたんです。しかしアメリカ人には“アメリカ人のマネキンが日本語をしゃべっているのが面白い”という所でウケたみたいですね。それをカナダに持っていくと“アメリカ人をバカにしているぞ”と 、すごく嬉しがったみたいです。別にそういうつもりではなかったんですけれど。“いいぞぉ〜!”みたいな感じになって予期せぬ喜ばれ方をしてしまいました」
−−初めて海外に映画を持っていった時は、緊張なさいましたか?
「一回ちょっと緊張しました、このあいだハワイ映画祭に行った時。僕の隣に小さい子供がすわっていたんです。その子供の反応がものすごく恐くて。“どこでウケるのかな〜”って。そしたらその子がとても盛り上げてくれました。ずっと笑ってくれていたので、僕もホッコリしながら見ていました」
−−お子さまから大人まで誰でも楽しめる作品なんですね。今回の映画版は『カラー・オブ・ライフ』。“ライフ”が重要なテーマとして出てきていますが、監督の思い入れが何かあるのでしょうか?
「人を描くのが好きなので。それが非常にバカバカしい状況だったり、ポップなシチュエーションだったりしても、そこで動いている人が好きなんですね。そこで全編を通してもう一度『バミリオン』を見た時に、『ライフ』というのが外せなかったということでしょうか」
−−最後に、これから映画をご覧になる皆さんにメッセージを!
「素直に楽しんでもらえるのが一番嬉しいですね。19本の短編映画が入っていて、長編映画としても見づらい部分がありますし、かといってフィルムフェスティバルのように、いろんな短編映像を見るようにも見れない。見づらい作品かもしれないけれど“これまたひとつの新しい映像の可能性を秘めているのではないか”と、前向きに好意的に見ていただけたらうれしいです。ゆっくり楽しんでください」

  取材・構成/かきあげこ(書上久美)