[血を吸う監督トーク3]衝撃!佐々木監督は容疑者だった(笑)
前半4日間で劇場のレイトショーの記録をぬりかえるなど、大好評のうちに行われている『血を吸う宇宙』8耐イベント・マラソンもいよいよ後半戦。今宵のお題目は、[血を吸う監督トーク3]ということで、佐々木浩久監督&脚本の高橋洋さんに加えて、プロデューサーの一瀬隆重さんという、“発狂”シリーズ企画会議メンバーの揃い踏みだ。佐々木監督御自身が歌っているGS風劇中歌をバックに3人が舞台に登場、実はこの歌は青山真治監督に歌ってもらう話しもあったとかの軽いジャブを飛ばしつつ、メイン・ゲストのいる時には出来なかった話しを披露してしまおうという趣向だ。
そんな大ネタ中の大ネタが、“佐々木監督殺人容疑者事件”!。佐々木監督は今年の初めに衝撃のニュースとして報じられた某殺人事件が起きた家の庭先を、『血を吸う宇宙』用にUFOの音を研究する為に借りた特撮ビデオをレンタル屋に返却に行く途中、凶行が行われていた時刻に通ってしまったらしい。「その後、近所中に警察が聞き込みに来たときに、自分自身の推理を展開しちゃったんですよ。非常に疑われてしまいましたね(笑)」(佐々木監督)。しかも、“少女の首が飛ぶ残酷な映画(『発狂する宇宙』のことね(苦笑))”を撮っていることも加わり、しばらくの間二人組の刑事が「面白い話し聞かせてよ」と訪問してきたそうだ。「それって、羨ましいよね(笑)。ミステリー・ファンたるもの、絶対一度は警官の前でマイ推理を展開したいものだから」冗談めかしながらも、実はこの誰もがやってみたいという感覚こそが、金田一もののような地方都市で民間人が捜査に介入するような現実には有り得ない設定を成立させていると分析する高橋さん。因みに、佐々木監督の元を訪れた刑事の方は、「今時の映画じゃ、くさくって絶対にキャスティングしない」ような方々で、冤罪で捕まるのではないかという恐怖を体験しつつ、「現実と思っていることこそ、実は映画なのではないか」という思いを強く感じたそうだ。そんな部分をどうせなら映画に活かしたいと語った佐々木監督だが、冤罪の恐怖感は兎も角(笑)作品に満ち満ちたパラノイアックなテイストを観れば、その甲斐は十分にあったと言えそうだ。
現在、シリーズ第3弾の製作に向けて、日夜企画を練りつづけている3人。1作目で、見事なまでにファンの予想だにしなかった作品を作ってしまっただけに、そのハードルは一作ごとに高くなり正直難しくなっているとも。「最初の時は、僕たちは面白いと思ったけど、映画にお金を出す人たちからは人間じゃないような反応をされた」(一瀬P)という特異な性質の一作目だったのが、「今は何かをやっても直ぐに突出したものが無くなっちゃう一般化の早い時代。そこから突出して時代と向き合わなくちゃいけない」(佐々木監督)という状況だ。そうした中で、「1・2ときてパート3というよりも、僕のそして三輪ひとみをはじめ皆の代表作になるように、きちんと作りたい。このシリーズが好きになってくれた人を、ある意味裏切って、より楽しめるようにしたい」(佐々木監督)と次回作への展望でトークを纏めた。今度は、1年待たせないようにしたい…という希望的発言が、現実になることを是非期待したい。
なお、『血を吸う宇宙』はテアトル新宿にて、連日21時20分よりレイト・ロードショー公開中。12月27日はの8耐イベントは[血を吸う監督トーク4]と題して、本編中で怪しさ爆発の新聞配達であり、はたまた?という役を演じ、また佐々木監督が助監督として師事していた黒沢清監督を迎えてのトーク・ショーが行われます。
□作品紹介
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=85
(宮田晴夫)