ファン待望、『発狂』シリーズ・セカンド・ステージとでもいうべき『血を吸う宇宙』が、いよいよ12月22日の初日を迎えた。前作『発狂する唇』公開時より「今度はSFだ!」と話題になり、既に今年の初めに行われた『発狂する唇』DVD化記念イベントでは、監督や出演者から作品完成の報が伝えられながら、前作で作品に魅せられたファンたちを焦らし続けてきた第2弾がベールを脱ぐのだ。そして熱心なファンの要望に応えるべく、今年も、初日から29日までの8日間、スタッフ・キャストら関係者によるディープなイベントが開催されるのだ。8回耐久者には、前回の時と同様今回もとっておきのプレゼントがあるということで、これを見逃す手はない。
 前作は新東宝風怪奇映画の枠組みの中に、エロ・グロ、カンフーそして歌謡映画にクトゥールと、楽しい悪趣味をごった煮風に詰め込んだ作品だった。そして、本作は先に書いた通りSF、しかも侵略SFであるのだが、貸し本漫画テイストと、様々なUFOトンデモ学説が錯綜し、今回も観るものの予想を裏切るとんでもない展開へと作品は暴走していく。
 作品を待ち望んだファンにより、当然のごとく多くの立見客もでて熱気が溢れるテアトル新宿に、佐々木浩久監督をはじめ脚本を書いた高橋洋さん、そして中村愛美さん、三輪ひとみさん、吉行由実さん、上田耕一さん、諏訪太朗さんといった出演者の面々がゲストとして登場し、初日舞台挨拶が開催された。
 「もっと前に出来ていたんですが、お正月映画になってしまいました。話したいことは色々ありますが、これから8日間毎日イベントがありますから、そこで話していきたいと思います。」。そう舞台挨拶の口火を切ったのは、前作に続き監督をした佐々木浩久監督。この第2弾に関しては、「今回は直接的なエログロよりも話し全体の乱れ具合、そして前作よりも先の読めない物語を楽しんで欲しい」とコメントした。以下、それぞれのゲストのコメントを紹介しよう。
 「この前この劇場でやっていた『ピストル・オペラ』もそうだと思いますが、今回の『血を吸う宇宙』も観る前から諦めて欲しい(笑)。冒頭のタイトル・シーンで判るはず。この作品の脚本は僕が入院中に書いたものですが、病院にコピーがなかったので、佐々木監督が一字一句映してできあがりました。」(脚本・高橋洋さん)
 「たくさんの人の前で話すのは初めてで緊張してます。撮影中に足の骨を折り、それで走り回ったりで大変でした。一生懸命頑張りましたので、是非観てやってください。」(倉橋里美役・中村愛美さん)
 「前作から続けてみてくださっている方々、本当にありがとうございます。前回は悲壮感漂うというか、黙々と現実を受け入れる役でしたが、今回は全てを知っていて…という役で、少ししか出てないですけど凄く楽しく出来ました。」(成本の恋人役・三輪ひとみさん)
 「前作に続いて里美の母役です。今回はSF超大作のようで(笑)、家が飛びますので楽しみにしてください。」(家の女主人役・吉行由実さん)
 「大予算のハリウッド映画とは逆に、低予算ですがアイデアと技術を駆使した見本のような作品が出来上がりました。私も映画に出て40年になりいろいろな役をやりましたが、宇宙人役ということでこれほど楽な役はありません。何故なら、私は宇宙人だから…」(亀山パンチ役・上田耕一さん)
 「多分、皆さんのご期待に十二分応えられる役で、ちょっと登場してます。上田さん以上に楽でした(笑)。前回以上にパワーアップしてますから、期待してください」(ハゲの男役・諏訪太朗さん)

 なお、『血を吸う宇宙』はテアトル新宿にて、連日21時20分よりレイト・ロードショー公開中。12月23日の8耐イベントは[血を吸う監督トーク1]と題してギンティ小林氏&「映画秘宝」編集部と佐々木浩久監督のトーク・ショーが開催される。貴方も、皆勤目指して日参せよ。

□作品紹介
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=85
(宮田晴夫)