NHKアジア・フィルム・フェスティバルでは第2回よりNHKのハイビジョンドラマの新作を、特別参加作品として上映している。12月18日には第2回から数えて3本目の作品となる『駆落ち』が、一般放映に先駆け東京国際フォーラム・ホールDの大画面で上映され、また上映に先立って『駆落ち』を演出した兼歳正英さんと、主役の雄平を演じた大森南朋さんによる舞台挨拶が行われた。

演出・兼歳正英さん——今日はお忙しい中をおいでいただきまして、ありがとうございます。この作品は昭和19年、戦争中の話です。その頃になりますと、敗戦の色も濃くなりまして、物が無い中人々は自分の生や死を考えながら生きてきたような気がします。今、我々が彼らの人生をどのようにとらえたらいいか、というようなことを考えながら作りました。戦争は大変重く大きな問題ですが、それを考える一つのヒントのような作品になればいいと思います。

雄平役・大森南朋さん——僕は、オーディションでこの役をいただいたんですけど、一番最初に決まって監督に言われたのが、とりあえず痩せてくれということで、7Kgくらい必至にダイエットをしました。戦時中の話ということで説明を受け、リハーサルも重ねていきましたが、僕にとって難しくもあり、すごく楽しい時間を過ごした作品です。戦時中の空気が出せたらいいなと思ってやりましたので、ゆっくり見ていただけたら嬉しいです。

ドラマは鮮明なハイビジョン映像で捉えた北海道の美しい自然から始まり、身売りされた恋人道代を東京で探す雄平と彼の善意が呼び寄せたかのような彼の周囲の暖かい人達とのふれあい、そして道代との再会とその愛の行方が戦争を背景に描かれる。草原の緑と二人の愛を象徴する花の白さが、強く印象に残る作品だ。

なお、第4回NHKアジア・フィルム・フェスティバルは、東京国際フォーラム・ホールDにて23日まで開催中。なお、『駆落ち』は12月21日11時〜に上映される(入場無料)。

□第4回NHKアジア・フィルム・フェスティバル
http://www.nhk-p.co.jp/event/asia/asia.html

(宮田晴夫)