出演者がプロに負けないくらいの演技がリアリティを追求した監督の意図した作品に、その完成度はすばらしい、と観客を魅了させた『イチかバチか』のワン・グァンリー監督。
第6世代の監督と本国でも絶賛され、本人いわく新世紀の監督であると、今後中国映画界に頼もしいクリエイターの誕生である。
10本目最後のコンペ作品のティーチンをご紹介します。

Q.役者さんが本当は凄い演技のできるプロの役者さんではないのでしょうか?
———私の映画に出演していただいた方は、みなさんノンプロの役者さんです。中国での同じような質問をうけたのですが、そのような声をいただいて出演していただたノンプロの役者さんたちに感謝しています。
Q.この映画は、上海語で中国では方言による映画制作は認められるようになったのでしょうか?
———何度が当局の審査はありましたが、中国語で製作してくださいと言われていますが、すでに過去にチャン・イーモウ監督なども中国語ではない映画を製作していますが、私も何度か当局に確認をして正式に許可をいただいていますが、この作品を役者の方々に中国語でお願いしますと頼んで製作したら、このような作品にはならなかったと思います。近く、12月7日に上海で公開されますが、公開時には、中国語の字幕をつけて公開することになると思います。
Q.上海では出演している以外にもリストラされている方はたくさんいると思いますが、キャスティングはどのように決まったのでしょうか?
———彼らは知り合いの6人で、彼らの人間関係は面白くて本当に彼らはくじをかったりしている人たちで、選んだ理由は、彼らの人間関係や人柄が実に面白くって選んでいます。同じようなリストラされた人たちを選んでも似たような作品にはなったとは思いますが、人間関係や人柄を再現できたかどうかは分からないと思います。
Q.撮影手法は?
———私自身は、映画制作を勉強してきた人間ではないので、映画の中でどのようなストーリーを作っていいのかも分からないです。僕の考え方としては、生活そのものがよき脚本ではないかと思っています。撮影中は役者さんがかなり緊張していたので、最低限度の撮影スタッフで行っています。
Q.脚本の名前がクレジットされていますが、どのような役割なのでしょうか?
———脚本を私はかけませんので、プロの方に頼みました。しかし、脚本は映画としての骨組みを書いたもので台詞などは、撮影中に俳優がその場の状況で俳優と決めたことで、もし脚本を正式にクレジットするのなら7人の脚本家がいることになります。
Q.監督は第6世代の監督と言われてもいいのかと感じますか?
———中国でも同じような質問を受けていますが、私は答えていませんが、私の友達が変わりに答えてくれましたが、そのときは、新世紀(世代)の監督であると答えています。私は、第5世代、第6世代の監督の皆さんと同じ場所にいたいとか、並びたいとかそのような考えがありません。第5世代の監督さんは、共通点があるのかもしれませんが、第6世代になると、それぞれの監督が差が大きいので、一緒にくくられるのも難しいと思いますし、私自身も中国の映画界の中にいて映画を作ってきたわけではありませんので、そのような呼び方を好んでいません。
Q.中国などにはよく行くのですが、このような作品はいったいどのような形で上されるのでしょうか?
———中国では昔は政府が劇場も管理していました。最近では改革以降に、映画のマーケットが誕生しています。日本の友人に聞くと日本では、ハリウッドメジャーではないアート系と呼ばれる作品を上映する劇場があり、私は中国にもそのような劇場ができたらいいなぁと思います。僕の作品が、メジャー映画と同じような場所で上映できるわけではないと分かっていますので、撮影の段階からローバジェットで製作し、投資者も米ドルで9万ドルくらいの作品なので、すでに中国本土で回収できており、損をしていないという状況で、自分からみれば映画制作がこれからも続けられるということです。

□第2回東京フィルメックス
http://www.filmex.net/
(外川康弘)